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  1. 大阪府議会 2006-02-01
    03月06日-04号


    取得元: 大阪府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    平成18年  2月 定例会本会議    第四号 三月六日(月)◯議員出欠状況(出席百九人 欠席〇人 欠員三)      一番  吉村善美君(出席)      二番  尾辻かな子君(〃)      三番  清水義人君(〃)      四番  浦野靖人君(〃)      五番  西野修平君(〃)      六番  東  徹君(〃)      七番  松井一郎君(〃)      八番  西川弘城君(〃)      九番  荒木幹雄君(〃)      十番  小林隆義君(〃)     十一番  奥村健二君(〃)     十二番  かけはし信勝君(〃)     十三番  森 みどり君(〃)     十四番  井上 章君(〃)     十五番  中川隆弘君(〃)     十六番  三田勝久君(〃)     十七番  大橋一功君(〃)     十八番  岩木 均君(〃)     十九番  井上哲也君(〃)     二十番  阿部賞久君(〃)    二十一番  長田公子君(〃)    二十二番  谷川 孝君(〃)    二十三番  樋口昌和君(〃)    二十四番   欠員    二十五番  土井達也君(〃)    二十六番   欠員    二十七番  小沢福子君(〃)    二十八番  今井 豊君(〃)    二十九番  山岸としあき君(〃)     三十番  松浪耕造君(出席)    三十一番  三浦寿子君(〃)    三十二番  池川康朗君(〃)    三十三番  柏原賢祥君(〃)    三十四番  光澤 忍君(〃)    三十五番  野上松秀君(〃)    三十六番  伊山喜二君(〃)    三十七番  中野まさし君(〃)    三十八番  永野孝男君(〃)    三十九番  浅田 均君(〃)     四十番  花谷充愉君(〃)    四十一番  田中誠太君(〃)    四十二番  徳丸義也君(〃)    四十三番  北口裕文君(〃)    四十四番  品川公男君(〃)    四十五番  関  守君(〃)    四十六番  黒田まさ子君(〃)    四十七番  岸上しずき君(〃)    四十八番  堀田文一君(〃)    四十九番  小谷みすず君(〃)     五十番  阿部誠行君(〃)    五十一番  宮原 威君(〃)    五十二番  和田正徳君(〃)    五十三番  中島健二君(〃)    五十四番  上の和明君(〃)    五十五番  山添武文君(〃)    五十六番  漆原周義君(〃)    五十七番  西脇邦雄君(〃)    五十八番  西口 勇君(〃)    五十九番  大島 章君(〃)     六十番  山下清次君(〃)    六十一番  さぎり 勁君(〃)    六十二番  中野 清君(出席)    六十三番  那波敬方君(〃)    六十四番  谷口昌隆君(〃)    六十五番  野田昌洋君(〃)    六十六番  池田作郎君(〃)    六十七番  山本幸男君(〃)    六十八番  岩下 学君(〃)    六十九番  杉本 武君(〃)     七十番  三宅史明君(〃)    七十一番  坂本 充君(〃)    七十二番  北之坊皓司君(〃)    七十三番  鈴木和夫君(〃)    七十四番  井戸根慧典君(〃)    七十五番  竹本寿雄君(〃)    七十六番  西村晴天君(〃)    七十七番  谷口富男君(〃)    七十八番  浜崎宣弘君(〃)    七十九番  朝倉秀実君(〃)     八十番  原田憲治君(〃)    八十一番  岡沢健二君(〃)    八十二番  西野 茂君(〃)    八十三番  岩見星光君(〃)    八十四番  畠 成章君(〃)    八十五番  梅本憲史君(〃)    八十六番  奥田康司君(〃)    八十七番   欠員    八十八番  中村哲之助君(〃)    八十九番  松田英世君(〃)     九十番  半田 實君(〃)    九十一番  西浦 宏君(〃)    九十二番  冨田健治君(〃)    九十三番  北川法夫君(〃)    九十四番  吉田利幸君(出席)    九十五番  若林まさお君(〃)    九十六番  長田義明君(〃)    九十七番  小池幸夫君(〃)    九十八番  横倉廉幸君(〃)    九十九番  杉本光伸君(〃)      百番  川合通夫君(〃)     百一番  釜中与四一君(〃)     百二番  橋本昇治君(〃)     百三番  徳永春好君(〃)     百四番  美坂房洋君(〃)     百五番  高辻八男君(〃)     百六番  隅田康男君(〃)     百七番  大前英世君(〃)     百八番  大友康亘君(〃)     百九番  土師幸平君(〃)     百十番  古川光和君(〃)    百十一番  酒井 豊君(〃)    百十二番  京極俊明君(〃)    ~~~~~~~~~~~~~~~◯議会事務局     局長         竹山修身     次長         岡田重信     議事課長       西井正明     総括補佐       入口愼二     課長補佐(委員会)  中田 茂     主査(議事運営総括) 土井泰光     主査(議事運営総括) 大河内隆生     主査(議事運営総括) 田澤孝夫     主査(記録総括)   奥野綱一    ~~~~~~~~~~~~~~~◯議事日程 第四号 平成十八年三月六日(月曜)午後一時開議 第一 議案第一号から第百四十九号まで、報告第一号から第七号まで並びに諮問第一号及び第二号(「平成十八年度大阪府一般会計予算の件」ほか百五十七件)    (質疑・質問)    ~~~~~~~~~~~~~~~◯本日の会議に付した事件 第一 日程第一の件    ~~~~~~~~~~~~~~~午後一時二分開議 ○副議長(中村哲之助君) これより本日の会議を開きます。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(中村哲之助君) 日程第一、議案第一号から第百四十九号まで、報告第一号から第七号まで並びに諮問第一号及び第二号、平成十八年度大阪府一般会計予算の件外百五十七件を一括議題といたします。 ただいまより上程議案に対する質疑並びに府政一般に関する質問を行います。 通告により阿部誠行君を指名いたします。阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇・拍手) ◆(阿部誠行君) 日本共産党の阿部誠行でございます。 我が党府議会議員団を代表して知事及び教育長に質問します。 私は、吹田の中学校で二十七年間教師をやってきました。巣立っていく教え子たちに、安心して人間らしい生活を送ることができる平和で希望ある社会を手渡したいと願ってきました。しかし、二十一世紀に入って、社会は深い閉塞感に覆われ、希望の喪失とまで言われています。小泉内閣が進めてきた規制緩和万能市場原理主義、弱肉強食などの構造改革は、社会的格差を拡大し低所得層を増大させています。 生活保護世帯は、全国で百万、大阪では十五万を超しています。就学援助を受けている児童生徒の数は、全国平均一二・八%、大阪では二七・九%と全国最悪、多重債務者は全国で数百万人、また貯蓄ゼロの世帯も二三・八%と急増しています。OECDの調査結果でも、日本の貧困率は五年前でさえ一五・三%、メキシコ、アメリカなどに次いで五番目の高さで格差の大きな国となっています。 労働現場では、正規雇用にかわって、パート、派遣、請負などが増加し、労働者の三人に一人、若者の二人に一人は不安定雇用で、低賃金や無権利状態に苦しめられています。若者が経済的に自立できず、技術や仕事の伝承にも重大な障害となり、少子化の原因の一つとなっています。知事は、こうした社会的格差の広がりをよしとされますか。答弁を求めます。 今政治がやるべきことは、社会的格差の是正です。ところが、知事は、二〇〇一年の行財政計画案、二〇〇四年版行財政計画で全国一スリムな自治体を目指すとし、官から民へ、市町村にできるものは市町村にと改革のスピードを自慢し、大阪再生と財政再建の二兎を追うとしてきました。 その中で、福祉四医療助成事業を改悪し、生活保護世帯、あいりん地区日雇い労働者への夏、冬の一時金まで廃止、さらに府立高校の授業料を全国最高額に引き上げ、エアコン使用料徴収まで強行し、社会的格差を拡大してきたではありませんか。答弁を求めます。 府民の貧困化が進む一方で、大企業はバブル期以上の利益を上げ、松下電器は昨年三月決算で約一千百六十億円の史上最高の利益を上げています。大阪に本社がある資本金百億円以上の百三十四社の内部留保は、二年連続で二十五兆円を超えています。知事は、大企業主導の好景気が中小企業や府民の暮らしに波及すると言いますが、今の景気回復は、リストラや下請いじめ、輸出に頼っているのが特徴です。百三十四社全体で正社員を一年間で一万三千人削減をしています。府税収入も、大企業の法人税は増加していますが、個人府民税は落ち込んだままです。この現実を知事はどう思いますか、答弁を求めます。 また、大型開発優先で財政再建もできませんでした。もともと財政危機の原因は、約六割を借金に頼る呼び込み型などの大型開発事業が一九九〇年代を通じて進められたことです。りんくうタウン、三つのコスモポリスなど、すべて失敗しました。一九九〇年に一兆三千百億円余りだった借金は一九九九年度末には三兆八千三百億円余りにもなり、財政危機の再建には開発優先の府政の転換が求められていました。 ところが、太田知事は、破綻した大型プロジェクト、いわゆる負の遺産をさらに拡大する最悪の道を選択しました。関空二期事業は、府財政から一千百億円以上つぎ込みながら、発着回数の予測を四回も引き下げたにもかかわらず、二〇〇七年十三万回も見込めません。安威川ダムの利水に至っては、水使用量の減少からも必要性のなさは明らかです。一たんは見直しするかに見えた水と緑の健康都市や阪神高速道路の新路線建設は、当初の計画よりも府民の負担をふやして進められようとしています。 さらに、ゲートタワービルやりんくうタウンでは、開発を提案し共同で進めてきた大和--現りそな銀行などは一千億円をはるかに超す巨額の利益を上げているのに、府民負担だけで処理され、三千億円を超す負担が府財政を圧迫しています。大阪府の借金も、新年度一般会計で五兆円を超え、知事就任以後一兆二千億円もふえました。あなたが財政危機を一層ひどくしたことは明らかです。その認識がありますか、答弁を求めます。 また、国の大企業減税も、財政に影響を与えています。二〇〇三年と新年度を同じ税ベースで比較すると、実質税収入は一千五十一億円しかふえていません。法人事業税が定率減税で二割減っていることが、バブル期を上回る利益を大企業が上げているのに税収の伸びが少ない一因となっています。財政再建のためには、三位一体改革や大企業優遇税制の見直しも避けられません。見解を求めます。 さて、新年度予算案も、関空二期事業に利用促進名目で二億四千万円など十五億円近く、安威川ダム関連七十四億円、阪神高速新路線六十九億円、水と緑の健康都市関連事業八十六億円、国際文化公園都市関連三十八億円など、開発に多額の予算を組んでいます。公共事業は、PFI方式の推進でますます中小企業は官公需から遠ざけられています。 一方で、府立高校授業料減免制度の縮減、私学経常費助成の縮小など、府民犠牲は相変わらずです。検診車はと号による小規模事業所検診事業の廃止や府立五病院の独立行政法人化など、府の広域的・専門的役割の後退も重大です。今回、福祉医療助成制度の改善、ものづくり商店街支援、保証人の要らない融資制度などが盛り込まれていますが、極めて不十分です。 府民が安全なまちづくり高齢者対策保健医療体制の整備、健康づくりなどを強く求めていることは、府民意識調査でも明らかです。大型開発優先を見直し、府民福祉の向上と中小企業振興など大阪経済発展のための予算に組み替えることを求めます。知事の見解を求めます。 以上、答弁をよろしくお願いします。 ○副議長(中村哲之助君) 知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 日本共産党大阪府議会議員団を代表されましての阿部議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、格差社会是正についてですが、今日経済のグローバル化や産業構造の変化が進展する中で、雇用構造や就業形態も多様化をしており、就労者の所得などに差が生じ、これが広がっている面もあると考えております。 この原因や評価をめぐりましては、さまざまな意見や考え方がございますけれども、こうした状況により、人々が将来に希望を抱けないような社会になってはならないと考えています。私としては、大阪が活力にあふれ、快適な生活を送れる都市であり続けられるように、大阪再生と財政再建を力強く進めてまいります。 なお、お示しの福祉医療制度などにつきましては、公平性や受益と負担の適正化、自立支援などの観点から再構築を行ったものでございます。 また、大企業主導の好景気が府民の暮らしに波及していないという御指摘ですが、昨年の大阪の有効求人倍率が全国平均を上回る水準に回復して、十四年ぶりに一倍を超え、ものづくりまち東大阪では、中小企業の景況感がプラスに転じるなど、着実に改善をしつつあります。こうした流れがより広く中小零細企業に浸透し、より多くの府民が景気の回復を実感できるように、引き続いて産業面はもとより、雇用や福祉面などあらゆる取り組みに力を入れてまいります。 次に、財政危機の原因と財政再建への見解についてですが、本府の財政危機は、長期にわたる不況による府税収入の著しい落ち込みの一方で、右肩上がりの経済成長と税収を前提とした施策構造からの転換のおくれや義務的経費の増加など、さまざまな要因が相まったものと考えております。 主要プロジェクトについては、必要性や採算性等を点検精査の上、事業ごとに対応方針を明らかにしてきたところであり、今後とも情勢の変化に機敏に対応してまいります。 また、平成十八年度までの三位一体の改革については、三兆円の税源移譲が実現したことは一定の前進であり、引き続いて地方の税財政基盤の充実に向け改革の推進に取り組む必要があると考えております。 法人課税のあり方については、国の税制度全体の中で議論されるべきものであります。 次に、平成十八年度の予算案については、再生重点枠の活用などにより七つの戦略的取り組み分野への重点化を図り、中小企業の活力の再生、雇用・就労支援、安全なまちづくり、府民の健康、次世代育成支援など、府政を進める上で緊急かつ重要な施策に限られた財源を重点的、効果的に配分をしたところであり、組み替える考えはありません。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 知事の答弁に再質問二点行います。 まずは、格差社会の是正についてです。 個人府民税は、最近では配偶者特別控除廃止などで税制が変わりましたけれども、従来と同じ税制で比較すれば、一九九七年と比較をして、昨年度、今年度、新年度と三年間続けて二〇%以上減っています。府民の個人所得が三年間続けて二割も減っています。知事の企業業績の好調が家計にも波及しつつあるとの認識は、甘いのではありませんか。大阪の倒産も、二〇〇四年と二〇〇五年で比較してみると、むしろふえています。とりわけ、資本金百万円以下の企業の倒産は、五百十六件から七百四十二件にふえています。知事の目線は、府民の暮らしや不況の中で頑張っている中小企業の苦労が見えていないのではありませんか。答弁を再度求めます。 次に、主要プロジェクトについて、知事は、必要性や採算性を点検精査の上対応を明らかにしてきたと答えました。しかし、知事には全く一貫性がありません。例えば、関空二期事業では、発着回数が十二万回あった二〇〇〇年ごろの府議会では、航空需要は確実に伸びる、発着回数が十六万回に達すると答弁をしていました。しかし、その後十万回台に下がり、昨年、二〇〇五年やっと十一万回、二〇〇七年十三万回という四回目の見直しすら達成できる見込みはありません。知事は、最近、国際空港に複数の滑走路が必要だと主張を変えてきました。定見が全くありません。 また、箕面の水と緑の健康都市でも、二〇〇一年二月には住宅の需要がないと知事は言っていました。ところが、今は府の事業として二千九百戸の住宅建設を進めています。ここにも定見がありません。 もともと市場経済の論理でいえば、国内線が関空でこれからふえるわけがありません。関空二期事業の必要性、緊急性はなかったことは明らかです。結果から見て、知事はそうお思いになられませんか。開発優先の見直しを改めて求めます。答弁を求めるものです。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 阿部議員の再度の御質問にお答えを申し上げます。 まず、社会的格差の問題について再度御質問がございました。先ほども申し上げましたけれども、経済が世界的に大きく変化をしておりますので、あるいはまたそれに合わせて日本の産業構造も変化をしてきておりますので、所得などの差がある面広がっているというふうにも考えておりますけれども、しかしながら、この格差社会と言われる状況については、国際値比較を初めさまざまな分析が必要で、各分野の専門家の間でも種々の議論がございます。 こういったことから、御指摘の点は断定できるということではないと思いますし、本府としては、こういう状況も踏まえながら、今後も中小企業の活性化、雇用・福祉面での取り組みによって、府民が将来に希望を持って安心して暮らせるように取り組みを進めていきたいと考えております。 それから、公共事業の関係でございますけれども、いろいろな公共事業について御指摘がございました。これらのプロジェクトは、大阪の未来にとっての必要性を十分に踏まえて適切に対応してきたところであります。今後も、主要プロジェクトについては、十分に必要性、採算性を踏まえて対応していきたいと考えております。 特に関空についての御指摘がございましたけれども、これまでもるる申し上げてきたとおり、東アジアを中心とする世界の空港間競争が激化をする中、関空は大阪、関西が再生と発展をなし遂げていくために必要不可欠な国際交流インフラだと考えております。その整備は、国家戦略的・中長期的視点から着実に進められるべきものというふうに考えておりまして、この考えには変わりがありません。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 知事に再度重ねて質問しますけども、知事は、この好景気が府民の暮らしに波及している、あるいは中小企業にも波及していると。しかし、私が今重ねて質問した中で、中小企業、特に大阪の中小零細企業の倒産はふえているこの事実、あるいは府民税、これは税収が減っている、落ち込んでいっている、この事実に対して知事はどうお考えなのか。 もう一つは、主要プロジェクトについての採算性、必要性、これを踏まえて判断する。しかし、この間知事は、関空の需要が伸びるから必要なんだ、繰り返しこのことを主張してきてます。こうした問題について、あるいは水緑でも、住宅の需要があるからだ、しかし見込めないといって見直しをしたではないか、ところがそれを今は続けてる、一貫性がないではないか、この指摘に対して知事はどうお考えですか。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) ただいま、中小企業の問題、あるいは個人所得の格差が生じているという指摘がございました。自由主義経済の中で大きく産業・雇用構造が変化するわけですから、所得などの差が出てくるときもあれば、またそれが縮まるときもございます。現在は広がっている面もあるというふうに言われておりますけれども、これがいわゆる格差社会と言われる状況になっているかどうかというと、これには種々議論があると考えておって、断定できるものではないということでございます。 なお、中小企業については、先ほど東大阪の状況にも言及いたしましたけれども、さまざまな調査で平成十四年度ぐらいを境に中小企業の業況感は、大阪、関西の場合は全国の水準を上回ってよいとする人が多くなっておりまして、中小零細企業にも徐々に景気回復の波が広がっているとは考えておりますが、まだまだ十分でないということにかんがみ、今後も中小企業対策に力を入れていきたいと考えます。 また、さまざまなプロジェクトについて一貫性がないという御指摘ですけれども、先ほども申し上げたように、大阪の未来にとって必要かどうかということを常に踏まえながら適切に対応してまいりました。定見がないという御指摘は当たらないと考えております。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) これほど今の日本の格差社会が広がり深刻な事態ができてきているにもかかわらず、知事はその事実を認めようとしない。これは、大変な問題だというふうに思います。 私は、最初に申し上げた立場で、府民の生活を守り、安心安全な大阪を目指す我が党の提案を行います。 まず、教育です。 今日、子どもの成長と発達をゆがめる社会環境が広がり、学力の危機、モラルの荒廃などが拡大しています。学級崩壊、不登校、いじめ、非行、中途退学なども深刻さを増しています。ところが、国と府は、教育改革と称して大阪の教育に重大な障害をつくり出してきました。 一つは、府立高校の統廃合と多様化が選別と受験競争を激しくさせ、通学区域の拡大がそれを加速させようとしています。 二つは、授業料の全国最高額への引き上げと減免制度の大改悪、私学助成の大幅削減、夜間定時制高校の半減は、府民負担と教育格差をさらに拡大させます。 三つは、評価・育成システムを強行し、さらに給与、処遇にまで反映させる。来年度からは、首席教諭、指導教諭の導入を計画するなど管理強化を進めています。教職員集団が分断され、これでは学校の教育力の低下を招きます。教職員の健康破壊も深刻です。これらの弊害についてその認識がありますか、答弁を求めます。 今日の教育困難の打開策として、憲法、教育基本法を大阪の教育に生かす立場から、次の四つを提案をします。 第一は、過度の競争教育の是正、高校進学希望者全員入学の保障です。当面、府立高校の統廃合、学区拡大を中止し、多様化、特色づくりの押しつけをやめることです。減免制度の縮減はやめ、私学助成の拡大を進めるべきです。 第二は、すべての子どもに行き届いた教育を保障するため、三十人学級の実現を目指し、せめて小学校三年生と中学校一年生に三十五人学級を拡大し、基礎的な学力、豊かな情操、体力、市民道徳をすべての子どもにつけさせることです。 第三は、教師が誇りを持って教育活動ができるように、上意下達、命令型の学校運営を改め、評価・育成システムは廃止し、教職員の自主性を最大限保障することです。 第四は、子どもの成長、発達に影を落としている大人社会のモラルの危機を克服し、子どもたちを守る府民的運動を進めることです。知事及び教育長の見解を求めます。 次に、子どもの権利に関する条例についてです。 府は、検討会議を設置し作業を進めていますが、子どもに義務ばかり課し、伸び伸びした発達を押さえつける条例では、国連の子どもの権利条約の趣旨に沿えません。条約の理念が全面的に反映される立場から、次の点を提案します。 第一に、子どもたちの権利実態を教育、文化、司法などあらゆる分野で明らかにすることです。 第二に、子どもの権利条約の原則である生きる権利、意見を表明する権利、発達する権利、守られる権利などを明記することです。 第三は、子どもたちを権利侵害から救済し、権利を保障する財政的裏づけも含めた具体的なシステムをつくることです。 第四は、条例制定過程から施策展開も含めて、子どもの参加を明確に位置づけることです。それぞれ答弁を求めます。 次に、公務災害の問題です。 文部科学省の国立教育研究所が中心となった二〇〇一年の調査によれば、教師をやめたくなるほど忙しいという教員の割合は六一%に上ります。今日、土日や祝日も学校や部活動で勤務している教員も多く、大阪教職員組合の調査では、過労死危険ラインの一カ月の超過勤務が百時間を超える教員が全体の一三・四%に達しています。 教職員の公務災害認定件数は、この五年間で一・六倍、在職死亡は百六十六人、府職員も六十一人、精神疾患による休職者も年々増加しています。府基金支部の公務災害申請の年間受理件数は、府と市町村合計で毎年二千五百件を超えています。教員を初め地方公務員の健康破壊は深刻です。知事及び教育長の認識を問うものです。 地方公務員が健康で生き生きと仕事に打ち込める条件をつくることは、府の責務です。第一は、府の責任で超過勤務の実態を明らかにし、緊急に改善、解消を図ることです。特に、教職員の勤務実態調査は急務です。それぞれ知事及び教育長の答弁を求めます。 第二は、不幸にして公務災害が発生した場合、地方公務員災害補償法による迅速な救済が必要です。堺の過労死の先生の件が裁判で基金支部の公務外認定が取り消され、公務災害と認められました。府は、この判決を教訓とし、教員の仕事の特徴と実態を直視し、公務災害から救済する立場に立つべきです。教育長の答弁を求めます。 府民が子どもの現状に心を痛めているとき、今回の府教育委員会の収賄・接待事件は、府民の教育への信頼を根底から損なう重大問題です。元教育監が私学に天下りし、府との関係を深め、府の調査でも三十七人もの幹部職員が接待や贈答品をもらっていたことなど、癒着の関係が露呈したものではありませんか。とりわけ教育長は、教職員の綱紀の保持についての通達を出し、いかなる名目でも接待は絶対に受けないとしながら、みずからがその通達を破って指導、監督ができますか。責任をとるべきです。教育長及び知事の認識を問います。 事件の徹底した調査とともに、関係者に対する厳正な処分、万全の再発防止策を強く求めますが、どうですか。知事及び教育長の答弁を求めます。 府と私学との関係では、大阪南部の学校法人の府の補助事業をめぐる事件も重大です。学園が府の助成を受けてパソコンを購入した際、納入業者によって二重請求や架空請求が行われ、一千二百万円を超える被害額を出した事件です。この事件で学園の四名の教諭が関係業者を府警本部に告発をしています。府は、これらの事実を承知していますか。府は、法人にどのようなチェックをしてきたのか。監査が甘かったのではないか。事は税金の詐取であり、徹底解明が求められます。それぞれ知事の答弁を求めます。 次に、子どもの安全を守る問題です。 府は、昨年十二月に府内の全小学校で通学路の総点検や犯罪情報の共有化などを進める方向を打ち出しました。今重要なことは、点検後の危険箇所対策です。防犯灯の設置や街路樹の剪定などが必要なところも数多くあります。特別な予算を組んで市町村を支援してはどうですか。また、学童保育などの時間延長の要望も出ています。これは、知事の公約でもあり、すぐに実現すべきです。答弁を求めます。 さらに、小学校等へ警備員等配置事業やこども一一〇番事業などの予算措置は時限的なものにせず、市町村からの延長と助成額の増額を望む声にこたえて、事業を継続し助成額をふやすべきです。答弁を求めます。 次に、少子化対策について質問します。 少子化の根本には、不安定雇用の広がりと異常な長時間労働、賃金の抑制、出産や教育などの経済的負担の増大、子育て環境の悪化など、今日の社会のゆがみがあります。知事の認識を問うものです。 少子化対策として、一つ目は、若者の雇用の安定が必要です。若者の雇用をめぐる環境は不安定で、子育ての家庭的責任を果たすことができません。我が党は、若者の安定した雇用を確保するために、府として、一つ、大企業がパート労働者の賃金引き上げや正規雇用の拡大、若者の新規採用の拡大、ワークシェアリングで雇用機会をふやすなど、社会的責任を果たすよう求める。二つ、労働基準法違反の実態が職場でまかり通っていることに対し、法の遵守を企業に働きかける。三つ、中小企業が若者を雇用した場合に助成を行う。四つ、教育や防災分野などでの府の雇用を拡大する。それぞれ答弁を求めます。 二つ目は、経済的負担の軽減です。政府がメールマガジンで少子化対策のアイデアを募ったところ、トップが経済的支援で、六歳未満の医療費の無料化を望む声が約半数ありました。今日、就学前までの乳幼児医療費無料制度に踏み切る自治体がふえています。子育て日本一を目指すならば、府も実施に踏み切ってはどうですか。答弁を求めます。 三つ目に、小児救急医療体制の充実です。初期救急で終夜診療を実施しているのは、三島と豊能の二つの医療圏だけです。すべての医療圏で終夜診療の実施が求められています。また、同じ医療圏でも、範囲が広く利用しにくい現状です。可能な限り行政区ごとに整備されるよう求めますが、どうですか。 また、すべての医療圏で二次救急体制を拡充するよう、府内十七の自治体病院を初め多くの病院で小児救急を位置づけることが必要です。府としての計画はどうですか。さらに、小児救急体制を充実させるためにも、小児科医の養成・確保を国に求めるべきです。それぞれ答弁を求めます。 次に、福祉について三点質問します。 まず、福祉医療の負担軽減についてです。我が党は、繰り返し軽減策を要求してきました。今回の軽減策は一定評価しますが、この制度がすべての対象者に行き渡るよう周知徹底することを求めます。また、一家に複数の対象者がいる場合、負担は大変です。今後、世帯単位の軽減へ制度を発展させる考えはないか。それぞれ答弁を求めます。 第二は、今国会に政府が提出した医療改悪法案などの問題です。 この案は、七十歳以上の窓口負担を現行一割の人を二割に、二割の人を三割に引き上げ、二〇〇八年から七十五歳以上のすべての人を対象に別建ての医療保険制度をつくり、保険料は年金から天引きしようというものです。さらに、療養型病床に入院している高齢者の居住費、食費を保険適用外にするなど、高齢者をねらい撃ちにするものです。 その上、四月から介護保険料が大幅アップします。医療制度改悪については、大阪府医師会も反対を表明していますが、知事として国に法案の撤回を求めるべきです。どうですか。また、せめて低所得者の介護保険料減免制度を府独自に行うよう求めますが、どうですか。 さらに、生活保護では、老齢者加算がなくなり、その上府の一時金も廃止をされ、灯油も買えない世帯がふえました。せめて今年度廃止した被保護者夏季・歳末一時金を復活する考えはありませんか。それぞれ答弁を求めます。 第三は、障害者自立支援法の施行に伴う問題です。 同法は、障害者と家族に大幅な負担を強い、障害者の命まで削る最悪の法律です。実施主体は市町村ですが、府の役割を三点に絞って質問します。 その一は、府と市町村が策定する障害者福祉計画についてです。策定に当たっては、第三次大阪府障害者計画の基本理念を堅持することが大切です。目標値の設定は、国が示す計算方法ではなく、障害者計画における施策水準の達成を見込んだものにするよう市町村を指導することです。 その二は、応益負担に変わった利用者負担の軽減です。福祉サービスと自立支援医療などの重複利用の場合、利用料が合算され大変です。また、施設に入通所していたり、自立支援医療で入院すると、食費と居住費が自己負担になります。府として独自の負担軽減を図る考えはありませんか。 その三は、地域生活支援事業に移行することが予想される無認可小規模作業所に対する補助金についてです。府の独自補助金を含め、従来の補助水準を落とすことのないようにする必要があります。また、市町村の条例で定める地域支援事業の利用料は、現行どおりとなるよう指導すべきです。それぞれ答弁を求めます。 次は、中小企業対策についてです。 中小企業振興に軸足を置いた施策の第一歩として、ものづくり基盤技術高度化支援事業が提案されています。培われてきたものづくりの技術をさらに高度化していく上で必要な施策です。大阪産業発展のためには、北大阪にもものづくり拠点が必要です。かつて府工業奨励館が置かれていた大阪市西区の江之子島にものづくり中小企業支援センターを建設してはどうですか、答弁を求めます。 次は、官公需の中小企業への発注です。 府の官公需の中小企業発注率六五%目標を達成すれば、二〇〇四年度決算で見ると、さらに二百七十七億円の仕事を中小企業に回すことができます。府は、全庁挙げて目標達成の具体的計画を立てるべきです。知事にその決意がありますか、答弁を求めます。 次に、大型店の出店規制です。 超大型店の出店が相次ぎ、府民の暮らしとコミュニティを支えてきた市場や商店街は、減少の一途をたどっています。大型店出店計画に八尾市でも大正区でも住民や商店街挙げての反対運動が起きるなど、各地で秩序と活気あるまちづくりを目指す運動が広がっています。福島県を初め自治体による出店規制の条例やガイドライン制定が進み、政府も都市計画法などの改正による規制強化を今国会に提出しました。 知事も、商店街の振興を言うなら、府として市街地を含めた出店規制を検討し、地域経済と活力あるまちづくりのために役割を果たすべきだと考えますが、どうですか。答弁を求めます。 次に、千里ニュータウンの再生問題です。 まち開きから四十三年、豊かな緑と空間を保った良好な住環境を整え、地域の人と人とのつながりのあるぬくもりの伝わる落ちついたまちとなっています。ところが、大阪府営住宅や府供給公社などの大規模な建てかえ計画によって、その姿が大きく変えられようとしています。既に、民間企業の社宅用住宅は、そのほとんどが民間高層マンションに建てかえられています。現在の大阪府や公社の進め方がこのまま強行されるならば、ニュータウン再生ではなく、まち壊しになりかねません。府は、再生に向けた考え方を示しましたが、最小限次のことが必要です。 第一は、緑と空間など良好な住環境を守ることです。現在の住民不在の建てかえ計画の強行はやめ、千里ニュータウン再生の全体構想を住民参加でつくることです。 第二は、若い世代も高齢者も住み続けられる千里のまちをという住民の願いにこたえることです。そのためには、府営住宅全体をふやすことが必要です。 第三は、四十年間かけて築いてきた地域の人と人とのつながり、コミュニティを守ることです。それぞれ知事の答弁を求めます。 公社住宅の建てかえについては、少なくとも次のルールを守るべきです。耐震診断、建物と設備の検査を行い、個別改善、全面的改善、建てかえなど多様な選択肢を住民に提示し、住民要求に基づき住民合意を原則に進めることです。何が何でも全面建てかえ、広大な土地を活用地として売却することを前提としないことです。知事の答弁を求めます。 次に、梅田貨物駅の吹田操車場跡地への移転問題です。梅田北ヤード開発のため、住民合意の得られていない吹田へ貨物ターミナルを移転することは到底容認できません。着工合意協定は撤回すべきです。答弁を求めます。 以上、答弁よろしくお願いします。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) まず、教育改革についてです。 教育の機会均等を図るという教育行政の基本理念を踏まえて、多様化する府民の教育ニーズに的確にこたえるため、学校の自主性、自律性の確立や特色ある教育の推進に取り組んでいるところでありまして、引き続いて教育委員会とともにその推進に努めてまいります。 次に、新たな府立高校授業料減免制度は、府民に対する公平公正な制度として再構築をするものであり、私としては教育委員会の方針を尊重したいと考えております。 私学助成については、これまでも適宜適切な制度改正に努めてきたところでありまして、今後も必要な私学助成を行ってまいりたいと考えております。 次に、小学校一・二年生の学級編制については、学校生活の基礎を築く重要な時期であることから、平成十六年度より少人数学級編制を実施しているところです。平成十八年度は、当初計画に基づいて、小学校一年生三十五人、二年生三十八人の学級編制を実施していきたいと考えておりまして、他学年への拡大については考えておりません。 次に、府民運動については、大人も子どもも命の大切さを改めて確認し、あいさつや感謝の気持ちを持つ、一人一人が心のルールを持つ、これらを呼びかけるこころの再生府民運動を来年度から実施いたします。 次に、子どもの権利についての条例に関するお尋ねについて、一括してお答えを申し上げます。 条例の検討に当たっては、学校や家庭、地域など、さまざまな場面における子どもをめぐる現状や課題を踏まえることが重要と考えております。このため、府内各地の保護者や大人、中学生、高校生など幅広い方々から御意見を伺いながら、子どもの状況の把握に努めているところです。 今後は、こうした結果も踏まえ、昨年七月に設置した条例の検討会議において、子どもの健やかな成長を阻害するさまざまな要因を明らかにしながら、検討を深めてまいりたいと考えています。 次に、地方公務員の健康破壊については、府政の円滑な推進のためには職員が健康で職務に精励できることが大切であり、今後とも職員の心身両面にわたる健康の保持増進を図ることが重要だと認識しております。 次に、職員の時間外勤務の実績は把握をいたしております。府としては、公務能率の向上や職員の健康保持の観点から、これまでも事務改善の推進などによって時間外勤務の縮減に努めているところであり、本年度からは年間三百六十時間を上限とするよう徹底を図っておるところです。 次に、このたびの前教育監の逮捕と幹部職員を含め綱紀保持基本指針に反した行為がありましたことは、極めて遺憾であり、深くおわびを申し上げます。私も、組織の長として責任を感じております。今後、今回の調査結果も踏まえ、厳正に対処してまいります。 再発防止のため、改めて全職員に綱紀保持を徹底することはもちろん、指針そのものについて改善すべき点はないのか検証するとともに、指針を職員に徹底する具体的な仕組みづくりが必要と考え、今般外部の有識者から成る綱紀保持検討委員会を設置いたしました。今年度中に提言をいただいて、できるものから直ちに実施をいたします。これらの取り組みを全職員に徹底し、府民の皆様の一日も早い信頼回復に全力で取り組んでまいります。 次に、府補助事業をめぐる大阪南部の私立高校の事件については、御指摘の私立学校教員が、情報機器等を学校へ納入した業者を刑事告発したことについては、報告を受けています。当該私立学校に対する補助事業については、本府が実施した複数回の現地検査により、ソフト等の一部が納入されていないことが判明いたしました。このため、学校法人に対して既に相当額の補助金を返還させ、また口頭及び文書で厳しく指導いたしたところです。今後とも、私立学校等に対する補助事業については、検査を含め厳正に行ってまいります。 次に、子どもの安全についてでありますが、本府では、来年度府内三カ所の小学校区をモデルに市町村が策定する通学路等の改善プランに基づくまちづくり事業に助成をすることにいたしております。今後、モデル事例を盛り込んだまちづくりのガイドブックを作成し市町村に配付するなどして、こうした取り組みが府内全域で展開されるように努めていきたいと考えています。 次に、学童保育の時間延長は、児童の安全確保や保護者の就労支援の観点から重要だと考えています。今後とも、長時間の開設に補助金を加算する制度の積極的な活用等を通じて、実施主体である市町村に対して働きかけを行ってまいります。 次に、小学校等への警備員等の配置について、このたびの措置は当面三年間の事業として緊急対策として実施をしておりまして、その後の対応については、引き続いて国に対し安全管理体制の充実を図るための財源措置を求めるとともに、事業のあり方の検討を進めてまいりたいと考えています。 また、こども一一〇番の運動推進のための支援については、地域の方々や民間事業者など幅広い府民の協力を得て、運動の拡大、定着を図るために、十八年度までの三カ年事業として実施をしているものでございます。 今後とも、市町村等と緊密に連携しながら、府民運動としてこの取り組みを展開してまいります。 次に、少子化対策については、急速な少子化の背景には、結婚や家庭等に対する価値観の多様化とともに、仕事と子育てを両立するための環境整備のおくれなど、結婚や出産、子育てをちゅうちょさせるさまざまな社会的、心理的な要因が考えられます。このため、昨年三月、こども・未来プランを策定して、在宅での子育て家庭を含むすべての子育て家庭の支援や、男性も含めた働き方の見直し、企業における職場環境の整備など、幅広い観点から子育て家庭を支援いたしているところです。 今後は、同プランの着実な進行管理を行うなどによって、安心して子どもを産み育てることができる社会環境づくりに努めてまいります。 次に、若者に対する雇用確保についてお答えをいたします。 まず、大企業における雇用確保については、労働局と連携して在阪の経済団体に採用の拡大を引き続いて要請するとともに、パート労働者等の均衡処遇の実現やワークシェアリングの普及促進についても企業に対する啓発に取り組んでまいります。 企業における労働基準法等の遵守については、基準行政を所管する国を初め、市町村、関係団体と連携して、労働者、使用者双方を対象としたセミナーの実施や冊子等の配付を行っており、今後もその普及啓発に努めてまいります。 中小企業における若者の雇用については、JOBカフェ事業を通じ、中小企業の人材確保に向けたきめ細かな支援を行っておるところであり、個別の企業に対する助成は必要ないと考えております。公的分野における雇用確保は、府独自の取り組みであるライブワーク事業を通じ雇用創出に取り組んでまいりました。 今後とも、大阪雇用対策会議において策定いたしました雇用・就労支援プログラムに基づき、若者を初めとする就職困難者の雇用対策に取り組んでまいります。 次に、乳幼児医療費助成についてですが、入院については就学前まで対象としており、また通院については、平成十六年十一月に一歳引き上げ三歳未満としたところであります。さらなる対象年齢の引き上げについては、今後の課題というふうに考えています。 次に、小児救急医療体制の充実についてお答えを申し上げます。 小児の初期救急における翌朝までの夜間の診療体制については、本来市町村が整備すべきものですが、単独では小児救急に従事する医師の確保が困難であることから、複数の市町村が連携して持続可能な体制を確保できるように、二次医療圏における広域拠点の整備促進に努めておるところです。二次救急医療体制については、現在すべての二次医療圏で確保をされており、今後も市町村と連携しながら、初期救急の整備とあわせ、その充実に努めてまいります。 小児科医の養成・確保については、診療報酬の引き上げによる医師の待遇改善などを国に要望し、今回の診療報酬の改定に反映されたところでありまして、引き続いて養成、確保について要望をしてまいります。 次に、福祉医療の負担軽減制度についてですが、本府としては、対象者の方々に軽減措置の内容や手続等について周知を行いますため、府政だよりや市町村の広報紙への掲載のほか、関係団体などの機関誌への掲載の協力を求めてまいります。さらに、各医療機関に対しても、ポスターの掲示を依頼するなど、さまざまな手法を活用しPRに努めてまいりたいと存じます。 また、本府が市町村とともに実施しております福祉医療制度は、個々の対象者の負担軽減のためにその医療費の一部を助成するものであり、世帯単位での制度は考えておりません。 次に、医療制度改革関連法案については、長期に安定した医療制度の構築が図られるように、国会において適切な審議が行われるものと考えております。 次に、介護保険の利用料の減免については、介護保険制度は全国一律の制度であることから、国において必要な措置が講じられるべきであり、府として軽減措置を講じる考えはありません。 次に、夏季・歳末一時金については、生活保護基準が一般勤労者の消費支出との均衡上ほぼ妥当な水準となっていることから、復活する考えはございません。 次に、障害者自立支援法についてお答えをいたします。障害者自立支援法に基づく障害福祉計画につきましては、当事者団体代表の参画も得た委員会において、第三次障害者計画の基本理念や施策の重点方向等との整合を図りながら、本府としての障害福祉計画の基本指針を検討し、市町村に示してまいります。 次に、障害者自立支援法の施行による利用者負担の軽減についてですが、自立支援法による障害福祉サービスは全国一律の制度のもとで提供されるべきものであることから、国において必要な措置が講じられるべきであり、府としての軽減措置を講じる考えはありません。 次に、小規模作業所への支援については、今後国が示す枠組みや考え方を踏まえつつ、その運営状況に配慮しながら、事業の実施主体である市町村とともに検討してまいります。また、地域生活支援事業の利用者負担については、事業の実施主体である市町村が主体的に判断し、決定するものであります。 なお、本府としては、自立支援法の円滑な運用が図られるように、今後とも市町村と意見交換をしてまいります。 次に、中小製造業に対する支援については、府立産業技術総合研究所、クリエイション・コアと大学等が連携し、府内全域のものづくり企業の支援を行っているところです。来年度には、さらに技術の発掘から製品化までのトータルな支援を行うことにしておりまして、お示しのものづくり中小企業支援センターの建設は必要ないというふうに考えております。 次に、官公需については、庁内の横断的な組織である官公需確保対策会議で決定した中小企業者向け官公需確保のための基本方針に基づいて、中小企業者の受注機会の増大に向けた取り組みを積み重ねることにより、発注率の向上に努力をしてまいります。 次に、大型店の出店規制についてお答えをいたします。現在、国において大規模商業施設の適正立地等を図るため、都市計画法の改正案が今国会に上程されておるところです。府としても、地域で頑張る商店街等いきいきプラン策定会議での御意見や国の動向も踏まえ、市町村と協議調整を行いながら大阪の実情に即した方向を見定めてまいります。 次に、千里ニュータウンの再生について一括してお答えをいたします。 来年度、千里ニュータウン再生指針を策定するに当たっては、現在の良質な住環境や都市基盤、さらにはNPOなどによる地域のコミュニティ活動など、将来に引き継ぐべき大阪の大切な資産を生かした再生の方向性について、幅広く住民の御意見をお伺いしながら、千里ニュータウン再生連絡協議会において検討を進めてまいります。 なお、府営住宅については、ストック総合活用計画に基づいて新たな供給は行わないということにしており、建てかえに際しては民間による多様な住宅供給を図ることなどにより、若い世代の居住促進と高齢者も住みなれた地域で暮らせる環境整備を進めてまいります。 次に、大阪府住宅供給公社住宅の建てかえについてお答えをいたします。 府公社では、老朽化した公社賃貸住宅について抜本的な改善を図るため、計画的に建てかえを進めておるところです。建てかえに際しては、建てかえ計画等について入居者の方々に対して十分説明を行うとともに、独自の家賃減額措置の提示や移転先をあっせんするなど、きめ細かく誠意を持って協議を行ってまいります。 また、建てかえにより生み出された活用用地については、多様な住宅や地域の活性化につながる施設などを導入し、良好なまちづくりに努めることにいたしております。 最後に、梅田貨物駅の吹田操車場跡地への移転問題につきましては、地元の吹田、摂津両市における六年にもわたる環境アセスメントの手続も昨年末に終了するとともに、平成十一年に締結をいたしました基本協定の諸課題についても解決したことなどから、本年二月に両市を含めた関係者により貨物ターミナル駅の建設事業に着手する合意協定書の締結に至ったものであります。 今後とも、円滑な事業推進に向けて、関係者との調整を進めてまいります。 ○副議長(中村哲之助君) 教育長竹内脩君。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) まず最初に、府立学校に関する質問にお答えいたします。 生徒の学習ニーズが多様化する中で、生徒一人一人が興味関心、能力適正、進路希望等に応じて多様な学習と幅広い進路選択が可能となるよう、府立高校の再編整備計画を推進しているところであります。 また、全日制課程普通科の通学区域については、公立中学校卒業者の学校選択幅の拡大、学区間の府立普通科高等学校数の不均衡の是正、高等学校の特色ある取り組みの推進のために、現行九学区を四学区に拡大することとしたところであります。 教育委員会としては、今後ともこれらの取り組みを通じてさらに府民の信頼にこたえられる学校づくりに努めてまいります。 次に、学校運営についてでありますが、今後円滑かつ組織的に行うには、校長がリーダーシップを発揮できる組織体制の確立が必要と考え、平成十八年四月から府立学校において首席及び指導教諭を設置いたします。また、教職員の評価・育成システムについては、教職員の意欲、資質能力の向上と教育活動等の充実、学校の活性化を目指し、規則に基づき実施しているところであります。 府教育委員会では、評価結果を給与に反映することが必要と考えており、細部事項等の調整を早急に行い、平成十八年度の結果を平成十九年度の昇給及び勤勉手当の勤務実績反映に活用してまいります。 次に、教職員の健康問題につきましては、学校教育の担い手である教職員が健康を害し、結果として学校教育の円滑な運営に支障を来すことは好ましいことではなく、教職員の健康の保持増進を図ることが重要であると考えております。 次に、教職員の実態調査についてでありますが、自主性、自発性、創造性に基づいて行われる教育という勤務の特殊性から、全教職員について一年間を通じての勤務実態を調査することは、現実の問題として極めて難しい面がございますが、文部科学省が、来年度、教員の給与のあり方に関する調査研究として勤務実態調査を行うための予算を計上しておりますことから、府教育委員会としては、今後国の動向を見きわめ対処してまいります。 次に、教職員の公務災害についてでありますが、被災職員等から申請があった場合には、必要書類が整い次第、地方公務員災害補償基金大阪府支部長へ迅速かつ的確に申達しているところであります。 なお、申達に当たっては、個々の事象に応じ任命権者として適切な意見を付しております。 最後に、教育委員会における今回の事件に関しましては、教育行政を預かり、また率先垂範すべき立場でありながら、私自身の不注意な行動により府民の信頼を損なうことになり、衷心よりおわび申し上げます。 また、前教育監逮捕、さらには私学関係者との綱紀にもとる一連の行為は、府教育委員会及び教育行政に対する府民の信頼を損なうものであり、重ねておわび申し上げます。 今後、私自身、教育委員会が行ういかなる処分をも厳粛に受けとめるとともに、二度とこのような事態を招くことがないよう、教育委員会の綱紀保持指針である事務処理提要を早急に見直し、改めて教育委員会内の綱紀保持の徹底を図り、一日も早い府民の信頼回復に努めてまいります。
    ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 再質問します。 まずは、教育格差の問題についてです。 学校間格差が際立ってきています。いわゆる進学校と呼ばれている学校と教育困難校では、二〇〇四年度の授業料減免率は、片や五%から七%、一方困難校は五〇%を超えています。中途退学率でも、〇%から〇・三%に対し、一〇%から一五%と、その差が際立っています。所得格差が教育格差を生み、進路選択に大きな影響を及ぼしています。今回の授業料減免の削減などは、その格差を一層拡大するのではありませんか。知事の再度の答弁を求めます。 次に、学区拡大のもたらす教育への否定的な影響です。 今回の学区拡大で一学区当たりの全日制普通科高校の校数が一・五倍から二倍になります。受験競争が激化し、中学校の進路指導は一層選別強化が強いられ、学校間格差がさらに拡大することが心配です。一九七三年、五学区から現在の九学区に改革したのは、過度の受験競争や学校間格差を解消するために行われました。国連子どもの権利委員会は、日本政府に二度にわたって過度な競争教育によって子どもの発達が阻害をされていると、その是正を勧告をしています。大阪府の改革の方向は全く逆ではありませんか、再度答弁を求めます。 小学校三年生と中学校一年生を三十五人学級にすることの提案に対し、その考えはないとの答弁でした。子どもの成長発達にとって、小学校三年生は十歳の壁と呼ばれ、大事な時期です。また、中学校一年生は、小学校と中学校とのギャップ、そして思春期に入り揺れる時期です。不登校が急増するなど、子どもの成長の新たな節目です。それぞれの時期に少人数学級編制を行い、一人一人に行き届いた教育を行うことは、教育的に大きな意義があります。導入する方向で検討されてはどうですか、知事の答弁を求めます。 教職員の健康問題についてです。 我が党は、これまで実態調査を繰り返し求めてきました。しかし、いまだに実態はリアルに把握できていないことは重大な問題です。教育委員会の責務を果たしていると言えません。文部科学省が来年度実態調査を行おうとしているので、動向を見きわめて対処したいと答弁されましたけれども、府独自に調査を直ちにやるべきです。 公務災害が発生した場合、特に過労死や過労自殺などの場合、公務災害請求はよほどのことがない限り上がっていません。請求があった場合は、過労死裁判の判例などを踏まえ、救済する立場で最大限努力するべきではありませんか。教育長の答弁を求めます。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 再度の御質問にお答えを申し上げます。 まず、教育問題についてですけれども、所得格差が教育格差を生んでいるという御指摘がございました。府立高校の授業料等につきましては、保護者の理解と協力のもとに、教育環境の改善や教育条件の充実のために有効に活用しておりますし、また授業料減免制度についても、府民の教育を受ける機会を保障する制度として、公平公正を担保しながら、セーフティーネットとしての持続可能なものへと再構築するために改正を行うものです。私としては、教育委員会の方針を尊重したいと考えています。 また、通学区域の再編などについても言及がございましたけれども、これらの教育改革は教育の機会均等を図るという基本理念に基づいて、児童生徒の進路選択の幅を拡大するという観点から行っているものであり、多様化する府民の教育ニーズに対応するものとして、今後も引き続いて教育委員会とともに進めていきたいと考えておるところであります。 また、三十五人学級の拡大について質問がございました。小学校入学後においても、児童が学習習慣、生活習慣の基礎を確立して安定した学校生活が送れるようにということで、低学年における三十五人学級を導入したものであります。また、小学校中学年以上と中学校については、国の教職員定数改善計画の教員定数を活用して、学習時には学級集団を分割して小グループでの授業を行う等の少人数指導が行われておりまして、これが有効に機能しているものと考えています。 ○副議長(中村哲之助君) 竹内教育長。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 再度の質問にお答え申し上げます。 まず、教職員の勤務の実態調査につきましては、自主性、自発性、創造性に基づいて行われる教育という勤務の特殊性から、全教職員について一年間を通じての勤務実態を調査することは、現実の問題として極めて難しい側面がございます。 なお、抽出あるいは一定期間といった部分的調査ということも考えられるわけでありますが、対象人数、また調査期間の設定などについて府教育委員会として合理的に説明する必要があり、現時点では府教育委員会として単独で実施することは難しいと考えております。 次に、教職員の健康問題並びに公務災害の件でありますが、学校教育の担い手である教職員が健康を害し、結果として学校教育の円滑な運営に支障を来すことは好ましいことではないと思っております。 なお、教職員の公務災害につきましては、被災職員等から申請があった場合には、教育委員会として大阪支部長に迅速かつ的確に申達しているところでありますが、その申達に当たりましては、個々の事象に応じ、任命権者として適切な意見を付して円滑に進めさせていただいておりますので、御了解賜りたいと思います。 以上です。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 知事の方から、教育格差が拡大してきている、この問題について答弁がありましたけれども、納得できません。 今、一人の子どもが大学卒業するまでに二千万円かかる。結局、お金がなかったら、なかなか教育の機会均等は守れない。こういう状況の中で、大阪府が今回授業料の減免制度の大幅な削減をやったこと、これは子どもたちの教育機会均等を奪うだけではなく、さらに教育格差を生み出す、こうした問題が必ず出てくる。ぜひこの点については、改めて授業料減免制度の削減を行わないことを強く求めておきたいというふうに思います。 それから、学校間格差の学区拡大の問題でも、一九七三年に学区が五学区で、これは大き過ぎる。学校間の格差が生じてきているし、子どもたちの受験競争が非常に激化してきている。これを解消するために学区を縮小する。九学区になったわけです。ところが、今回またその逆行した方向に進んでいっている。しかも、この間、子どもたちの受験競争というのは、ますます苛烈になってきている。こうした中で、今回の学区の拡大は絶対に認めるわけにはいかない。学区の拡大はやめるように改めて求めておきたいと思います。 もう一つは、教職員の健康の問題ですけども、教育長は、教職員の自主性、自発性、創造性に基づいて行われる教育だからと。無定量のサービス残業というんですか、何時間もともかく残業が大変ふえてきている、労働時間が延びてきている、こうした実態をつまびらかにする必要がある。これは、教職員の健康を守る上でも、この実態調査は絶対に直ちにやるべきだ。文部科学省がやる予定があると、その動向を見きわめると、そんな悠長なことをやっている時期ではないというふうに思います。この点を強く求めておきたいと思います。 次に、地方行財政改革について質問します。 本来の改革は、自治体の財源と権限の拡充や役所の体質を住民が主人公に改善し、住民福祉を向上させることです。ところが、現実の地方行革はこれと正反対です。以下、具体的に質問します。 三位一体の改革は、国から地方自治体へ権限と財源を移譲し、小さな政府、豊かな地方自治が建前でしたが、現実は地方交付税の削減と税源移譲を上回る補助金カットにより、住民サービスの後退や市町村合併を余儀なくされる自治体が相次ぎました。さらに、今国会に提案が予定されている行政改革推進法案によって新たな行革が押しつけられたら、暮らしや福祉についての地方自治体の役割が果たせなくなります。知事の見解を求めます。 次に、市場化テストについてです。 この法案は、行政が担ってきた仕事の民営化や規制緩和をさらに徹底して進めるものです。マスコミも、危機をはらむ市場化テスト法案として、埋蔵文化財の発掘調査を民間に丸投げし効率化と価格競争にゆだねたら、貴重な文化財が破壊され、永遠のやみに葬られてしまうと警告しています。 市場化テストは、行政の役割を低下させるとともに、安定した雇用を不安定な雇用に置きかえ、行政に携わる労働者からやりがいを奪い、府民サービスを後退させます。市場化テストは実施してはなりません。答弁を求めます。 次に、公務員制度改革の問題です。 今、公務員制度は、政官財の癒着を断ち切り、上級公務員の天下り禁止など官僚的、特権的なゆがみを是正し、公務員が全体の奉仕者として頑張れるよう改革することが急務です。ところが、公務員制度改革と称して進められている公務員の削減は、国民の命と暮らしに対する政治の責任を後退させます。公務員給与のさらなる削減と格差の拡大は、公務員の官僚化を進め、全体の奉仕者としての公務員の勤労意欲を阻害するもので、間違いです。知事の見解を求めます。 道州制について質問します。 先月末、政府の地方制度調査会が道州制に関する答申を小泉首相に提出しました。それによると、医療、介護を初めとする国民生活に関する行政を道州と基礎自治体に押しつけるとともに、新たな道州は産業基盤整備などに従来の都道府県以上に力を入れることとなっています。この変化は、財界が道州制を強く求めていることと符合しています。 また、道州への移行は、地方自治体を住民から遠ざけ、地方自治の精神にも反します。本来、広域的自治体である大阪府は、市町村と協力し福祉、教育など暮らしの最低水準を守る、商工業や農林業、まちづくりと環境など広域的な課題を進める、高度医療・文化学問などの分野で先端を歩むという三つの役割を持っています。知事は、道州制にきっぱり反対し、府としての役割をしっかり果たすべきです。答弁を求めます。 次に、人権意識調査について質問します。 昨年、府は、我が党や民主主義と人権を守る府民連合が差別解消と逆行するとして中止を強く求めてきた人権意識調査を強行しました。調査結果では、同和地区のイメージとして、怖い、やや怖いに近いと答えた人が、十年前の調査の二七・三%、五年前の三九・八%に対し、今回は五三・六%となっています。この傾向は他の設問でも共通し、実態とは逆に、同和問題は暗く重たく深刻で、解決困難な問題と見る現象が強まっています。府や教育委員会が進めてきた同和人権教育が、同和地区を時代を無視して貧しく暗いものとして描いていたため、旧同和地区に対するマイナスイメージが拡大し、その弊害が表面化したものです。 同和教育が人権教育に看板を書きかえただけで今日もなお続けられていることや、今回の調査そのものも同和地区のマイナスイメージを拡大させた原因です。同和教育は直ちに終結し、人権意識調査は繰り返してはなりません。知事の答弁を求めます。 あわせて、府学力等実態調査を使った旧同和地区の実態把握についても質問します。 来年度、府教育委員会は、小学校六年生と中学校三年生全員を対象に学力テストを実施します。そして、学力テスト結果から旧同和地区の児童生徒の分を抜き出し、旧同和地区の実態調査なるものを行おうとしています。同和地区がなくなったのに、だれが旧同和地区の児童生徒かを判別する資料、すなわち新しい部落地名総鑑を府が作成し保有することも、それに基づき旧同和地区の児童生徒の成績を抽出することも、重大な人権侵害であり差別です。行政として絶対にやってはなりません。知事及び教育長の答弁を求めます。 次に、旧羽曳野病院看護師寮跡地売却問題についてです。 府は、二〇〇三年二月二十八日に旧羽曳野病院看護師寮跡地を羽曳野市に格安で譲渡しました。羽曳野市は、同年八月に同市内の医療法人春秋会に三万七千九百五十平方メートルを売却しました。この土地売却問題の疑惑について我が党はこれまで追及し、ハンナン元会長浅田満氏の関与と府との関係についてもただしてきました。 ところで、同年十二月に医療法人春秋会の土地のうち、三七%に当たる約一万四千平方メートルが春秋ライフ株式会社に所有権が移されています。羽曳野市の土地売却契約書の相手方は、医療法人春秋会です。元府所有地が、羽曳野市の入札に参加していない春秋ライフ株式会社名義になったのはなぜか、その経緯について明らかにしていただきたい。答弁を求めます。 最後に、アジアの中枢都市・大阪ビジョンについて質問します。 ビジョンは、アジアとの交流、協働を深め、アジアへの貢献を重ねていくことを提唱していますが、それらは大阪の発展にとって大事です。しかし、そのためには二つの解決すべき問題があります。一つは、小泉首相が靖国神社参拝を続け、それに抗議する中国、韓国などに対決的な姿勢をとっていることが東アジアの中で日本の孤立化を深めていることです。その上、憲法を改悪し、日本を再び外国に出かけて戦争する国にしようとしています。先月開かれた関西財界セミナーでも、中国、韓国との関係改善を求める声が大きくなっています。知事が本気になってアジアとの交流、協働を深めようとするならば、小泉首相に靖国神社参拝の中止とアジア重視へと外交の転換を求めるべきです。答弁を求めます。 府の姿勢も問われています。大阪府国民保護計画が策定されました。この計画は、戦争から国民を守ると言いながら、戦争を起こさせない方策については何も書いていません。計画で戦争を想定することは、府民に近隣アジア諸国への不信不安をばらまくことで、やってはなりません。答弁を求めます。 もう一つの前提は、アジアの人々にとっての大阪の住みやすさの問題です。外国人の地方参政権の実現とともに、外国人も日本人も住みやすい大阪にする。つまり、福祉都市大阪の実現です。知事のアジアの中枢都市・大阪ビジョンには、福祉都市大阪の実現こそ必要ではありませんか。答弁を求めます。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) まず、三位一体の改革についてですけれども、十八年度までに補助金の一般財源化に伴い三兆円の税源移譲が実現するとともに、地方交付税については十六年度に大幅削減が行われたものの、地方の強い働きかけもあって、十七、十八年度においては前年度並みの一般財源総額が確保されたところです。 国、地方ともにたゆみない行財政改革は必要ですが、国の財政健全化を目的とする地方への負担転嫁は絶対にあってはなりません。地方がみずからの権限と財源と責任のもとで十分に役割を果たしていけるように、引き続いて地方税財源の充実を初めとする地方分権の推進を国に働きかけてまいります。 次に、いわゆる市場化テストについては、PPP改革の一つの手法として有効であると考え、検討いたしているものです。本府としては、あくまでも行政の責任のもとで、民間からのアイデアやノウハウを幅広く生かし、公共サービスの質的向上と効率化を図るアウトソーシングを進めるものと考えておりまして、今般上程された国の公共サービス改革法の動向も見きわめながら、適切に推進をしてまいります。 次に、公務員制度改革についてですが、本府における人員の削減は、大阪府行財政計画案に基づいて、スリムで効率的な組織を目指し、これまでも府の果たすべき役割を精査しながら、また府民サービスへの影響を十分考慮しながら進めてまいりました。 また、今回の給与構造改革は、本府人事委員会の勧告や国の動向などを踏まえ、年功的な給与上昇の抑制や職員の士気を確保しつつ、職務職責及び勤務実績に応じた適切な給与水準の設定などを目指し、実施するものであります。 今後とも、適正な定員管理を進めるとともに、職員のやる気を高めるため、より一層能力、実績を重視した人事給与システムの構築に努めてまいります。 次に、道州制についてでありますが、府県域を超える広域的な行政課題への対応や地方分権の推進といった観点から、関西が総合力を発揮するための有効な方策というふうに考えています。 今回の地方制度調査会の答申は、地方分権を推進していくという考え方を基本に、広域自治体改革の具体策として道州制の導入を適当とする点など、一定の評価ができます。しかしながら、今後国民的なコンセンサスに向け、道州の税財源制度、国と道州の事務の役割分担、さらには国と地方のあり方等の根本的な問題について、より一層の議論が必要です。 次に、人権意識調査と学力等実態調査についてですが、本府では、同和問題について平成十三年の府同和対策審議会答申において、教育、労働等の課題が残されているとともに、差別意識の解消が十分に進んでいないなど、同和問題が解決されたとは言えない状況にあるとされており、これを受け、その解決に向けて取り組みを進めています。 人権問題に関する府民意識調査は、今後の人権教育・啓発施策の効果的な取り組みのための基礎資料を得ることを目的に実施したもので、その中間報告によると、同和地区に対するマイナスイメージが残っているものの、一方で人権問題への関心は高まっていることなども示されており、今年度末を目途にさらに分析を進めています。 今後とも、人権問題に関する府民意識を的確に把握しながら、効果的な人権教育・啓発に努めてまいります。 お尋ねの学力等実態調査の結果を活用した児童生徒の実態把握については、これまでの教育施策によって答申で示された教育課題がどのように推移しているかを把握するため、府個人情報保護審議会の答申を踏まえ、本府と連携しながら府教育委員会が実施していくものと考えています。また、実態把握は、これまでの同和対策事業対象地域の実情を把握するために行うものであり、新たに地域を特定するものではございません。 次に、旧羽曳野病院看護師寮跡地売却問題につきましては、羽曳野市長から買い受け申請があったため、本府の土地売却のルールにのっとり、不動産鑑定士二者の鑑定評価額をもとに、府財産評価審査会の答申を経て設定した予定額を上回る価格で市に売却したものでございます。 市におきましては、府から用地を購入した後、公募型競争入札を実施し、その結果、市議会の議決も経て、落札者である医療法人に病院、老人福祉施設などの用途として売却したものであります。市と医療法人との売買契約書において、医療法人が第三者に譲渡する場合、市の承認を得ることとされており、お示しの事案については、市が承認をし指定用途に供されることになったと聞いております。 次に、アジアの中枢都市・大阪ビジョンについてですが、府としては、国と国との関係に課題があったとしても、人と人、地域と地域の相互理解、連携を深めることが重要と認識をしております。 靖国神社参拝については、小泉総理みずからが判断されるべきものと考えています。また、国家間の外交問題は、国において適切に対処されるべきものと考えています。 次に、国民保護計画についてですが、国民保護計画は、万が一武力攻撃や大規模テロが発生した場合に、住民の生命、身体、財産を保護するために策定をしたものであり、府民に近隣諸国への不信不安を与えることはないものと思います。 最後に、住みやすい大阪づくりについてですが、アジアの中枢都市・大阪ビジョンにおいては、内外の人々が安心して過ごせる安全で快適な都市を大阪が目指すべき具体的な将来像の一つと位置づけています。このため、これまでの多言語に対応した生活情報の提供や相談体制の確保などの取り組みに加え、来年度から新たに健康や学びなどの面で不安を解消し、アジアからの人々が大阪で安心して生活できるよう新しい事業を実施することにしたところです。 今後も、外国人も日本人も安心して過ごすことができる大阪づくりに向け、ビジョンを着実に推進してまいります。 ○副議長(中村哲之助君) 竹内教育長。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 学力等実態調査につきましてお答え申し上げます。 本調査の趣旨は、児童生徒の学力や生活等の実態を把握し、学力向上に向けた教育施策の改善に資するために行うものであります。また、この調査の結果を活用して行うこれまでの同和対策事業対象地域に居住する児童生徒の実態把握は、平成十三年の同和対策審議会答申に示された教育課題が、これまでの施策によりどのように推移しているのかを教育委員会として把握するものでございます。 なお、その実施に当たっては、個人名を記さず、任意の整理番号で対応することとしており、個人情報保護審議会から個人情報保護に万全の措置を講じた上で、情報収集することについて差し支えないものとの答申を得ております。 また、実態把握の対象地域につきましては、これまでの同和対策事業対象地域であり、新たに地域を特定するものではございません。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 幾つか再質問します。 一つは、先ほどの答弁の中にありました教育汚職の問題です。 府政史上の大きな汚点で、何よりも教育長や教育監の発言は、極めて不見識、不まじめです。二月十三日教育長名で通達を出しました。その日の午後、教育長自身が高級料亭で接待を受けていたことが、マスコミ取材によって明らかになりました。私的な会合なので言う必要はないと思った、社会勉強のなさなどと弁解しながら、道義的責任は感じないとまで語っています。 教育長は、職務上はもとより、利害関係のある業者などから、金品の贈答、会食などの接待を絶対に受けないことと通達を出しています。その当の責任者です。府民と子どもの信頼を失墜した事の重大さの認識が余りにも欠如しているのではありませんか。こころの再生を府民に説く資格がありますか。みずからの身を処することもできないのですか。しかも、調査も不十分です。元教育監の調査を含め、事件の背景と原因について徹底解明を改めて求めます。それぞれ答弁を求めます。 大阪南部の私立高校で起きた不正事件についてです。 学校法人に対して相当額の補助金を返還させ厳しく指導した、今後とも厳正に行うとの答弁でした。二〇〇二年度分のみでも、学校法人の被害総額は一千二百万円を超えています。国や府の補助金が含まれている事業であり、あいまいな幕引きは許されません。府が提出を求めた学内調査委員会の報告書が、いまだに府に提出されていません。二〇〇三年度分については、正式に調査すら行われていません。理事長は、私学とは決着がついているなどと教員に表明していますが、多くの未解決の問題があります。教職員は、ボーナスなし、賃金カットなどの中でも学園を守り、子どもたちのために結束して懸命に頑張っています。 府は、厳正なる態度で学校法人に対して徹底した検査を行い、全容解明と経営の健全化、学校正常化に向けて指導すべきです。再度答弁を求めます。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 再度の御質問にお答えします。 大阪南部の私立学校の事件についてですが、補助対象事業として問題があった点につきましては、既に相当額の補助金も返還をさせました。また、法人としての事務処理の適正化ということでは、口頭と文書で厳しく指導を行いました。今後も、適切な指導を行っていくということで御理解いただきたいと思います。 ○副議長(中村哲之助君) 竹内教育長。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 私自身の不注意な行動により府民の信頼を大きく損なうことになりましたが、改めて衷心よりおわび申し上げます。 今回の事件に関しまして、私自身、今後教育委員会が行ういかなる処分をも厳粛に受けとめると同時に、厳しくみずからを律していかなければ、教育行政に対する信頼回復はないと痛感している次第であります。 こうした厳しい反省のもと、教育行政を預からせていただく立場として、改めて身を引き締め、引き続き教育諸課題について全力を挙げて取り組み、教育委員会挙げ教育改革に邁進してまいりたいと思います。これによりまして、一日も早い府民の皆様の信頼回復に努める決意でありますので、よろしくお願い申し上げます。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 大阪南部の私立学校の問題ですけれども、これは校内で設置した調査委員会の報告書がまだ府にも提出されていない。しかも、これは十四年度分の調査だと聞いています。十五年度分は、調査委員会が理事長によって解散させられたために、できていない。しかも、私学課は、学校の職員に対しては、この問題はまだ解決していないというふうに言ってるにもかかわらず、理事長は既にこれに決着がついてると言って幕を引いている。業者と理事長の癒着の問題があるのではないかと、さまざまな疑問がまだあります。このまま放置するわけにはいかない。大阪府として、厳正な検査と、そして調査を進め、指導すべきだ。重ねて質問します。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 御指摘のあった学校の問題につきましては、今後とも適時適切に指導をしてまいります。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 事は税金の詐取にかかわる問題だということですから、厳正な調査を改めて要求しておきたいと思います。 次に、乳幼児通院医療費の助成についてです。 国民生活白書によると、二十代の子どものいる世帯といない世帯を比べると、子どものいる世帯所得で一六%少なく、消費は九%多くなっています。三十代でも同じ傾向です。高知県でも昨年十月にゼロ歳から就学前まで引き上げ、長野県でも新年度から所得制限なしに就学前まで引き上げました。府内の市町村も年齢引き上げの努力をしています。府も就学前までにすべきです。答弁を求めます。 次に、障害者自立支援法の問題です。 負担軽減は、国において必要な措置が講じられるべきとの答弁でしたけれども、京都府は国が決めた負担上限額を半分に減らし、総合上限制度を導入します。東京都や山梨県でも独自の負担軽減をします。府も負担軽減策をとるよう重ねて求めます。 小規模作業所への補助金については、運営状況に配慮しつつということですけれども、それは障害者やその家族の生の声をきちんと聞くということでしょうか。答弁を求めます。 梅田貨物駅の吹田への移転の問題ですが、住民投票条例制定を求めた署名活動のさなかの二月十日に、着工合意の調印をなぜ強行したのか。署名は四万一千三百九十四名寄せられています。住民自治、住民参加は、地方自治にとって重要です。住民にとっては、まちづくりの将来にかかわること。住民の意思を具体的に問う機会を求めるのは、当然のことではありませんか。なぜ二カ月余りの時間を待てなかったのか、答弁を求めます。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) まず、乳幼児医療費助成についてでございますが、乳幼児医療費助成については、子育て支援という観点から、平成十六年十一月に通院対象年齢を一歳引き上げて三歳未満ということにしました。さらなる年齢の引き上げにつきましては、今後の課題というふうに考えています。 それから、障害者自立支援法については、これの施行による利用者負担の軽減について今御質問があったわけですけれども、障害福祉サービスというのは、全国一律の制度として提供されるべきものであるということから、府としての独自の軽減措置を講じる考えはございません。 次に、無認可小規模作業所の補助金の検討ということですけれども、無認可小規模作業所への支援ということについては、今後国が示す枠組みということやその運営状況にも配慮をしながら、事業の実施主体である市町村とともに検討したいと考えています。 最後に、吹田操車場跡地の移転についてでありますけれども、今回の協定締結といいますのは、平成十一年に地元の吹田、摂津両市を含めた関係者により基本協定が締結をされ、その後六年にもわたる環境アセスメントの手続が昨年終了したこと、そして基本協定の諸課題についても解決をしたことなどによって、着工合意に向けての環境が整ったという判断から締結に至ったものでございます。そのように御理解をいただきたいと思います。 また、住民投票の方につきましては、現在吹田市において署名簿の調査が行われておりますので、今後適切に対応がされるものと考えています。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 知事は常々子育て日本一というふうに言っておられるわけですけども、京都や長野や東京や山梨、次々とこうした施策について独自の助成制度をとっている中で、せめて乳幼児の医療費を就学前まで引き上げる、文字どおり子育て日本一を目指されてはどうか、重ねてこの点は要求しておきたいというふうに思います。 梅田貨物駅の吹田への移転計画、これは今住民投票条例制定を求める四万一千を超える署名が集まっていますけれども、住民の声を尊重する、円滑な住民合意を目指す、これは協定の条文でもあります。これを踏みにじっての今回の着工合意の協定調印、絶対許せません。 次に、青年の雇用の問題で再質問を行います。 中小企業での若者の雇用について、個別の企業への助成は必要ないとの答弁でした。大阪の若者の失業率は、全国的に見ても高い方です。個別の企業に助成することは、大きな効果があります。国の制度とあわせて府独自でも雇用助成すべきです。答弁を求めます。 次に、官公需の問題です。 もともと府営住宅や学校改修は、そのほとんどが中小企業向け発注でした。中小企業向け発注率をふやすには、府営住宅建てかえ事業では中小企業への受注機会を狭めるPFI方式はとるべきではない。改めて答弁を求めます。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) まず、若者の雇用についてですけれども、中小企業における若者の雇用については、JOBカフェ事業を通じて今きめ細かな支援を行っております。このJOBカフェ事業は、大変まだ評価も高く、人材確保に向けた支援としては大変期待をされておりますので、個別の企業への助成を今するということは必要ないと考えております。 また、PFIの府営住宅建てかえに関する御質問がございましたけれども、府営住宅のPFI事業は、効率的、効果的な建てかえの促進に有効な手法というふうに考えて、これまでも採用してまいりました。今後も、引き続いてその活用を進めていく所存であります。その中で、中小企業の官公需ということについても配慮をしていくことは、当然と考えております。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 中小企業への官公需の発注率六五%目標を決めて、一度もこの目標を達成してない。今、中小企業は仕事がなくて困っている。こんな中で、中小企業への発注率六五%目標、この達成のための具体的な計画を立てることを重ねて要求しておきます。 学力テストを利用した同和地区実態把握についてです。 まず、なぜ旧同和地区について調査をいつまでも行おうとするのかが問われています。校区単位で見ると、一般校も児童生徒支援加配配置校も学力に大差はありません。それ以外にも学力が低い地域は府内にたくさんあるでしょう。にもかかわらず、旧同和地区の児童生徒に絞って、秘密裏に学力テストの結果を集計することは、結局、同和事業や同和教育をいつまでも続けるためのこそくな調査以外の何物でもありません。即刻やめるべきです。教育長の答弁を求めます。 さらに問題なのは、旧同和地域の所在地リストを企画調整部が保有していることです。このリストは、かつて大問題になった部落地名総鑑と同じ性質のものです。そんなリストを行政が保有していいのか。一体いつまでこんなことを続けるのか、知事の答弁を求めます。 次に、旧羽曳野病院看護師寮跡地売却問題についてです。 市の承認を得て、医療法人春秋会から春秋ライフ株式会社に譲渡されたという答弁ですが、譲渡の原因は真正な登記名義の回復となっています。真正な登記名義の回復となると、羽曳野市から医療法人春秋会が土地を取得した当初から、実際の所有者は春秋ライフ株式会社であったということになるのではありませんか。ところが、羽曳野市に対する入札参加申込書には春秋ライフ株式会社は出ていません。したがって、移転登記は、刑法第百五十七条の公正証書原本不実記載の疑いがあるのではないかとの意見が出ています。答弁を求めます。 次に、地方行革についてです。 答弁は、いずれも小泉内閣が進める地方行革に賛意を示すものです。しかし、地方行革の現実の姿は、二〇〇四年度の地方交付税の削減がいつまでたっても是正されないなど、地方自治体を財政危機に追い込み、住民サービスの引き下げを余儀なくさせるものです。先月末、地方制度調査会が答申した道州制に対し関西の知事は、兵庫は反対、京都、奈良、滋賀は慎重姿勢で、賛成とする太田知事の姿勢は際立っています。国の方針に何でも賛成ではなく、反対すべきものには明確に反対することが求められます。答弁を求めます。 次に、アジアとの交流の問題です。 昨年、知事は上海市を訪問されました。上海側からは、知事を大歓迎し、友好ムードを盛り上げたと一般紙でも報道されています。上海市共産党の陳書記は、小泉内閣の靖国神社の参拝について残念なことと遺憾の意を示す一方、こういう時期だからこそ人と人との交流が何よりも必要と述べ、いわば大人の姿勢でした。ここで小泉首相が靖国神社参拝をやめれば、日中友好が大きく前進することは、知事自身もお感じになったはずです。そのことを小泉首相に率直に忠告されたらいかがでしょうか、知事の答弁を求めます。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) まず、人権意識調査と学力等実態調査の問題ですけれども、同和問題につきましては、先ほどもお答えしたとおり、答申において解決されたとは言えない状況にあるということで、その解決に向けての取り組みを進めておるところです。これまでの同和対策事業の資料については、同和問題の解決に向けた取り組みを推進していく上で必要なものとして保有しているものです。いわゆる部落地名総鑑ではございません。そのように御理解願います。 次に、羽曳野病院看護師寮跡地売却問題については、羽曳野市は、府から用地を購入した後、公募型競争入札を実施して、その結果、市議会の議決も経て、落札者である医療法人に病院、老人福祉施設などの用途として売却したものです。市と医療法人との売却契約書において、医療法人が第三者に譲渡する場合、市の承認を得ることとされており、お示しの事案は、市が承認をして指定用途に供されることになったと聞いております。 道州制についてでありますけれども、道州制は府県域を超える広域的な行政課題への対応や地方分権の推進といった観点から、関西が総合力を発揮するための有効な方策と考えております。私は、国と地方の役割分担を十分議論をした上で、それぞれの地域が自主性、自立性を発揮し、地域のことは地域で決定できるような制度としていくべきと考えております。 近畿の各知事についての言及がございましたが、答えはいろいろでございますけども、十分国と地方の役割分担について議論をした上でこの問題は考えていくべきだという点は一致をしていると思います。 最後に、アジアとの交流の問題についてでありますが、府は、国と国との関係に問題があったとしても、人と人、地域と地域の相互理解、連携を深めることが重要と認識しておりまして、この点については多くの方の理解をいただいていると思っています。 靖国神社参拝については、小泉総理みずからが判断されるべきものです。また、外交の問題は、国の専管事項であり、適切に対処をされると考えております。 ○副議長(中村哲之助君) 竹内教育長。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 平成十三年の府同和対策審議会答申では、教育分野での課題が示され、今後の同和問題の解決のための取り組みとしては、的確に行政ニーズを把握し、人権尊重の視点に立った一般施策を活用していくことが適切であるとされたところであります。答申で示された課題の推移、一般施策の考課検証を行うため、実態把握の当面の取り組みとして、平成十六年度の府同和問題解決推進審議会において、行政データを活用した調査を行うこととされました。 府教育委員会としても、この趣旨を踏まえ、府同和対策審議会答申で示された進学率、中退問題などの課題がどのように推移しているのか、府学力等実態調査、児童生徒支援加配配置校調査で得た結果を活用して分析を行うものでございますので、御理解賜りたく存じます。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 同和地区実態調査の問題ですけれども、知事は、同和地区の問題がまだ解決していない、そのために調査をやっているんだ、こういうふうに言われますけども、それじゃ重ねてお伺いしますけれども、同和地区の実態、今起きてる問題が同和問題が起因して起きてる問題だと考えているのか、これが第一点。 それから、解決していないと言うなら、どんな状態を解決したという状態だと府は考えているのか、示していただきたい。 それから、アジアとの問題ですけれども、アジアの問題で地域と地域との交流は非常に大事です。太田知事は、今回上海を訪問されて、友好関係をつくっていく上で大変大きな成果があったと言われる。しかし、その際、中国側から、小泉首相の靖国参拝の問題は遺憾だ、こういう意思が表明されているわけです。さらに、大阪が東アジアとの交流を深めていこう、その際こうした靖国神社参拝の問題など、その障害になりはしないか。知事は、このことを今回の訪問でどのように感じられたか、お聞かせ願いたい。 ○副議長(中村哲之助君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) まず、同和問題についてでありますけれども、本府では、同和問題について、平成十三年の府同対審の答申において、教育、労働等の課題が残されているとともに、差別意識の解消が十分に進んでいないなど、同和問題は解決されたとは言えない状況にあるとされておりまして、これを受け、その解決に向けて取り組みを進めておるところです。 どのような状況を指してという質問ですけれども、この答申においては、残された課題として示された教育や労働の問題の解決や府民の差別意識の解消が進んで、同和地区とその周辺地域と一体となったコミュニティの形成が図られたときとされておりまして、このように考えております。 次に、小泉首相の靖国参拝の問題でありますけれども、これは先ほども申し上げたように、みずからが判断されるべきものであります。私どもは、このように国と国との関係に課題がある今だからこそ、人と人、地域と地域の相互理解、連携を深めることが重要であり、その先頭に立つのが大阪、関西だと考えております。 ○副議長(中村哲之助君) 阿部誠行君。   (阿部誠行君登壇) ◆(阿部誠行君) 私は、府政の転換と府民の暮らしと中小企業の支援を求めて質問をしてきました。知事の答弁は、府民にとっては大変冷たいものでした。新年度予算案も、雇用や健康、次世代育成支援などはうたい文句だけです。正規雇用や若者の雇用をふやす目新しいものは見当たりません。検診車はと号を八台から二台に削減をしたり、小規模事業所の検診事業を廃止する、アスベスト検診を市町村だけに押しつけて健康を言っても説得力がありません。 また、授業料減免の削減や生保世帯一時金の廃止などは、高校生や高齢者から希望を奪うものです。将来に希望を抱けないようにしているのは、小泉構造改革でもありますが、知事の政治にも責任があります。大型開発優先から、福祉、教育、中小企業優先に府政を転換することを強く求めるとともに、改めて我が党の提案を積極的に受けとめ、予算の組み替えを含めて検討されることを強く要望、要求するものです。 以上で我が党府議団を代表しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(中村哲之助君) この際休憩いたします。午後二時五十五分休憩    ◇午後三時二十一分再開 ○議長(美坂房洋君) これより休憩前に引き続き質疑質問を続行いたします。 通告により土井達也君を指名いたします。土井達也君。   (土井達也君登壇・拍手) ◆(土井達也君) 大阪府議会二月定例会代表質問のトリを務めさせていただきます主権おおさかの土井達也です。 主権おおさかを代表いたしまして、府政の重要課題について質問を行います。 ことしも卒業式、別れの季節を迎えました。二月二十四日に、ある府立高等学校の卒業式に出席しました。卒業生は約百五十名。この代の入学者は約二百四十名で、授業料の減免率は五割ほどの中、高校三年間に約九十名の生徒がさまざまな事情から高校を去っていったそうです。 この卒業式で心に残ったのは、卒業生代表の女の子が答辞の中で、後輩の皆さん、頑張ることは決して恥ずかしいことではありませんと言った言葉です。とても率直な言い方で、心の中の大切な思いを聞いた印象を受けました。 さて、これから三月下旬まで、小中学校、幼稚園、保育所などの卒業式が行われます。私も、できる限り来賓として出席し、卒業生の心の震えに自分自身の心のあかを洗い流し、そして頑張れ、負けるなって心の中で応援歌を歌いに行きます。 一カ月後には、桜の花が咲き乱れる中、出会いの季節を迎えます。さらのスーツを着込んだ新社会人、新しい制服や大き過ぎるランドセルを背負った児童生徒のほほ笑ましい姿を目にします。子どもたちは、ことしも桜の中を誇らしげに入学式に臨み、新たな生活が始まります。 物の哀れ、わびやさびをはぐくんだこの国の悠久の歴史や文化、そしてことしもめぐり来る春の風に吹かれて、輝く風景に心を奪われ、冬来たりなば春遠からじとめぐる一年の四季、健康で平和な世ならば、それを何十回か繰り返してこの世を去る人の人生、そしてこれからも子々孫々と受け継がれていくこの社会に、主権おおさかとしてどのように引き継いでいくかという観点から質問を行います。 まず、府民よ大志を抱け、再挑戦社会の構築についてお伺いをいたします。 小さな政府は、汗をかいた者が報われる社会と言われる一方で、それは社会保障やセーフティーネットの制度を小さくすることを含んで、弱者切り捨てにつながる可能性のある格差社会であるとも言われます。 家が貧しくとも、育った環境が貧しくとも、この国を牽引された方、世界に飛び出して実績を残された方は、この日本にたくさんいらっしゃいます。しかし、親の経済力格差が子どもの学力の差となってあらわれているとも言われます。 この五年間で、生活保護世帯は七十五万世帯が百万世帯に、非正規雇用者数は千二百七十三万人が一千六百五十万人に、貯蓄ゼロ世帯は一二・四%が二三・八%に、また平均収入は、正社員五百三十一万五千円で、派遣社員二百二十六万六千円とさまざまな面で格差が生じ、拡大していることは事実です。 さて、私たちは、格差の拡大によって、社会にあきらめを持つ人が多くなって固定化が生じ、社会の活力を失ってしまうような危機感を持っています。近年、NEETやフリーターに象徴されるような新たな社会問題も生じ、固定化を回避すべく、いつでも再挑戦可能な社会を構築していかなければならないと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 次に、府民の繁栄、大交流、商売繁盛、五穀豊穣、大漁豊作についてお伺いをいたします。 都市は、生き物で、輪廻転生のように栄枯盛衰もめぐれば、最後の審判を受けた遺跡も見受けられます。 さて、重厚長大産業はだめだと言われてきましたが、先週の経済雑誌では、重厚長大産業の逆襲と銘打って、瀬戸内の好景気の模様や高校生の青田買いが活発だと伝えられました。本当によかったなと泣けてきました。 大阪経済も、輸出が四十五カ月連続で増加し、雇用面でも有効求人倍率が六カ月連続で一倍を超え、マクロで見れば景気の明るさが増しているように見えます。しかし、地元の商工会やJCのことしの新年会では、もうあかんという叫びに心がとても痛みました。景気回復の波が隅々まで感じられません。 大阪の強みを国内外に発信して、人、物、金の流れをよくし、商売大繁盛の活気あふれる大阪へ--大阪をかつてのように躍動感あふれる都市としてよみがえらせるために、知事は、どのような思いを持ち、これからの大阪をどのようにしていきたいのか、お伺いをいたします。 次に、府民の感動、美しい景観・環境を創出するまちづくりについてお伺いをいたします。 知事の心の中にある美しい風景--心象風景とは、どのような風景でしょうか。また、その風景は、何歳ぐらいのときのどこの風景でしょうか。議員の皆さんも、傍聴席に座っている皆さんも、そして理事者の皆さんも、一緒に自分の心の中にある美しい風景--心象風景を思い浮かべてみてください。 そして、今大阪府内を見渡して、知事は、心にある美しい風景とどのようなギャップを感じるでしょうか。府民の感動、美しい景観・環境を創出するまちづくりを質問するに当たりまして、まず以上のことを知事にお伺いいたします。 次に、府民のやる気、大阪企業・大阪人の社会的活動との連携についてお伺いをいたします。 大阪の地域主権を確立し、活力ある大阪を実現するために、大阪府はもとより、あらゆる大阪企業や大阪の人々が参加して、それぞれの責任を果たして、みずからの発想と力で大阪を支えていくことが大切で、中でも、それぞれの社会的活動とともに連携協働していくことが大阪の直面する課題の克服には非常に重要だと考えます。 大阪府のアドプト・ロード、リバー、シーの取り組みは、地元企業や住民、行政との新たなパートナーシップの形です。また、地球温暖化防止の観点からのアドプト・フォレスト制度も、企業と連携した新たな森づくりの取り組みです。 また、全国的には、地元金融機関の協力を得て、金融機関の社会的活動を金利面でとらえて、地域社会の課題が克服できるように、優遇金利で社会システムを変える取り組み事例も見受けられます。 さまざまありますが、大阪企業・大阪人の社会的活動と協働連携した取り組みを進めていくことが重要です。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、府民の安心、さまざまな危機に備えてについてお伺いをいたします。 大阪府では、従来から、地震や台風などの自然災害や大規模火災などさまざまな危機、都市災害への対策に万全を期すべく努力されてきました。また、近年では、SARSや鳥インフルエンザなど、これまで予測不可能な事態にも実際に直面し、対応してきました。 これらに加え、これから長期にわたるアスベスト対策や地球温暖化対策、子どもの安全対策、大阪府の国民保護計画や地域防災計画など、府民の生命、身体、財産の安全を確保するために取り組んでいかなければなりません。これからのさまざまな危機に備えて、知事の決意をお伺いいたします。 次に、府市の連携強化についてお伺いをいたします。 府と大阪市の連携を進め、府市の二重行政を解消し、非効率な行政運営を改めることは喫緊の課題です。これまで府と市は制度論において対立し、府は大阪新都構想を提唱する一方、大阪市はスーパー指定都市構想と、双方の考え方は相入れません。 こうした中、先日、二重行政の解消に向けて知事と市長の懇談が行われましたが、制度論を前提としていては議論に進展はないと考えます。 報道では、大阪市は、スーパー指定都市構想を一時凍結して、府と協議を進めていくとありました。府も、同じ姿勢で、前提なしに二重行政の解消に向けた協議に臨み、九月には雨降って地固まるというような具体的な成果を出すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 知事太田房江君。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 大阪府議会主権おおさかを代表されましての土井議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、再挑戦可能な社会の構築についてのお尋ねですが、今日、経済のグローバル化や産業構造の変化が進む中で、雇用・就労の構造や形態も多様化しつつあります。このため、就労者の所得などに差が生じ、これが広がっている面もあると認識しています。 この原因や評価をめぐってはさまざまな意見や考え方がありますが、お示しのように、府民一人一人が挑戦しようという意欲を失い、将来に希望を抱けない社会になってはいけません。私としては、就学や就労などさまざまな場面において、だれもがその能力を生かすことができ、いつからでも何度でもチャレンジできる活力と希望に満ちた社会でありたいと考えます。そのため、府として対応すべき課題については的確に対応をいたします。 次に、商売大繁盛のまちをつくるための方策ですが、大阪経済の力強い成長を図るためには、IT、バイオ、ナノテクや金属材料といった戦略産業を育成するとともに、それを支える中小企業の高い技術力や開発力を最大限生かし、競争力の強化を図っていく必要があります。 このため、戦略産業の振興や中小企業支援の強化策などについて、その方向性を示す大阪産業・成長新戦略(仮称)を策定することにいたしました。この新戦略を展開することにより、国内外から人や物、情報が集まり、ものづくりにおいて我が国経済をリードするようなアジアのにぎわい都市・大阪の実現を目指してまいります。 次に、美しい景観を創出するまちづくりについて、私の心にある美しい風景ということですが、特別に何歳ぐらいのどこというふうに具体的に挙げるのは難しいんですけれども、生まれてから小学校までを過ごした呉のまち、そして青い海や緑の山々が思い浮かびます。呉は、三方を山に囲まれたすり鉢状の小さなまちで、周囲を山と無数の島々が浮かぶ瀬戸内海に囲まれ、四季折々の風景に彩られていました。 一方、大阪も、大きさは全然大きいですけれども、三方を北摂、生駒、金剛、和泉葛城の山々で囲まれ、水の都と言われるようにベイエリアと多くの河川に恵まれています。特に、海に沈む夕日の雄大さや山頂から見た夜景の美しさなどは、呉ではなかなか見ることのできない大変すばらしいものです。 また、歴史街道沿いの古いまちなみや千里・泉北ニュータウン、にぎわいと活力に満ちた都心部など、歴史と人々のバイタリティーがつくり上げた多様な風景がございます。緑が少ないとか、雑然としているとかといった声も残念ながらよく聞きますけれども、大阪にはそれぞれの地域に特徴あるすばらしい風景がたくさんあって、これが大阪をふるさととする、あるいは大阪を愛する人々の心の風景になっていると思います。 次に、民間との協働連携については、私自身も非常に大切なことだと考えており、官民協働の新しい公を目指し、全国に先駆けてPPPの取り組みを進めてきたところです。 複雑多様化した今日の社会において、府民の幅広いニーズに対応し、豊かな地域社会を築いていくためには、行政のみならず、企業やNPO団体、そしてボランティアの皆さんの活動が大切であり、それぞれが役割分担と連携のもとに行動していくことが重要です。こうした積み重ねが、地域のことは地域が責任を持ってみずから考え行動する地域主権の理念にもつながっていくものと思います。 私としては、このような民との協働の中で新たな公共サービスのあり方をさらに追求し、今後ともさまざまな分野で民間との協働連携を深め、先駆的なモデルとして全国に発信をしてまいります。 次に、危機に対する備えについてお答えをいたします。 私は、知事就任以来、安全安心は、府民の暮らしはもとより、社会経済活動を営む上での大前提であるという思いから、地域、市町村、警察、学校など関係機関と一体となり、安全安心なまちづくりに全力で取り組んでまいりました。 地震などの防災対策や危機管理対策については、今年度行った総点検に基づいて、危機管理対応指針の見直しや実践的な訓練等可能なものは既に実施をいたしているところですが、来年度は地域防災計画の抜本的な見直しを行います。 子どもの安全対策については、全国に先駆けて安全なまちづくり条例を制定、施行するとともに、小学校への警備員等の配置、子どもの安全見守り隊の活動支援など、セーフティーネットの強化を図っております。 さらに、安心して暮らせる健康づくりを進めるため、新型インフルエンザなど感染症対策の強化、石綿飛散防止などアスベストによる健康被害の未然防止等に取り組んでまいりました。 私を含め職員一人一人が、常日ごろからさまざまな危機に対する感性を研ぎ澄まし、安全安心なまちづくりの取り組みをより一層強化することで、府民だけでなく、内外の人々が安心して訪れることのできるにぎわい都市・大阪を目指してまいりたいと考えています。 最後に、府市連携の強化については、大阪新都構想は、大阪都市圏全体において総合的な計画調整や広域的観点からの事業実施を担う機能が必要であるという思いから提唱しているものであります。具体的な制度面で市の構想と異なる点もありますが、大阪の活性化・再生のため、広域課題に対応し得るシステムが必要であるという認識は同じです。 現在、国、地方を通じ道州制に関する議論が本格化しておりますが、府圏域を超える広域的な制度とあわせ、大阪都市圏にふさわしい大都市自治システムについて、幅広い議論をしていくことは意義の大きいものと考えます。 府市の間において、いわゆる二重行政を解消し、連携の強化を図っていくことが喫緊の課題であることは御指摘のとおりであり、まずは具体的な課題における連携方策についての議論を進めていく必要があるという点では、市長と意見が一致しています。こうした協議を積み重ねることによって、府と市の新たなあり方や新しい自治制度に関する議論も深まっていくというふうに考えています。 今後も、大阪の活性化・再生に向け、大阪市長と忌憚のない意見交換、協議を行ってまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) ただいまの知事の答弁を踏まえまして、それぞれの項目についてお伺いをしてまいります。 まず、府民よ大志を抱け、再挑戦社会の構築からお伺いをいたします。 私が冒頭話しました、後輩の皆さん、頑張ることは決して恥ずかしいことではありませんと言った話を思い出してください。 世代によって、先代からどのようなことを教わったのかはさまざまありますが、私自身は、流した汗はうそをつかない、人の三倍努力してから文句を言え、克己--おのれにかてと、そのような教育を受けてきました。いわゆる根性世代です。だから、頑張ること、努力することは、すばらしいことであっても、恥ずかしいという感覚は私にはなかったので、かなり新鮮でした。青春の一ページを思春期真っただ中で、たくさんの苦悩を抱えて過ごしている十代半ばから後半の若者の一部に、頑張ることが恥ずかしいという風潮があっても不思議ではないのかもしれません。 しかし、心の根っこでは、本当のことをわかっていてほしいし、わかってくれていると信じたい。失敗することを恐れ過ぎたり、頑張ったり努力することを怠ってはいけないということ。その気持ちで挑戦することがなければ、新たな経験則も生まれないし、自分たちが行動することで次の時代を確かめないなら、自分も成長しないし、社会も前には進みません。停滞し、閉塞し、創造性のない社会にこの国の未来はありません。自主自立、独立独歩、立国は公にあらず私なり。一人一人が、立国の精神でそれぞれの困難や課題に情熱と勇気を持って立ち向かい、新たな時代を切り開いていこうという気持ちは大切です。 さて、教育長は、努力、頑張ることについてどのような教育観を持っておられるのか、お伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 教育長竹内脩君。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) ただいま私の教育観についてお尋ねをいただきました。先日来、私の不注意から起こりましたことにつきまして厳しい御叱責をいただき、私自身後悔と自責の念に駆られておりまして、そういう状況の中で、このことについてお答えすることにつきましては、いささかはばかるところがあるわけでございますが、あえての御質問でございますので、思いの一端を述べさせていただきます。 先般、こころの再生を考える有識者懇話会から提言と宣言文、合い言葉をいただきました。今後、これらを踏まえ、みんなが命の大切さを確認すること、よりよく生きようと努力する大阪人の誇りと気概を取り戻すことなどをねらいとして、あいさつをする、感謝するなど、具体的な行動を呼びかける府民運動を展開いたす所存であります。 この提言におきまして、何事も努力しなければ報われない、そして努力しても報われないことが多いのも現実だ。しかし、努力しなければ報われることはない。だからこそ、つらくても耐え、困難に立ち向かっていくことが重要ではないかとあります。また、何かに打ち込み、ひたすら努力する姿勢をええことはええとはっきり褒めようともあります。私自身、大いに共感を覚えるところであり、私の教育観と相通ずるところであります。 今後、私自身厳しい自己批判の上に立ちまして、よりよく生きるべく精進に努めたいと思っております。その上に立ちまして、提言などを活用し、子どもたちが自分の夢や希望に向かって全力で取り組もう、本気で本物を目指そうという意欲や姿勢を大いに持てるよう、大阪の教育のさらなる充実に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、人間力をはぐくむ教育についてお伺いをしたいと思います。 子どもの学ぶ意欲や規範意識の低下、生活習慣の未確立、後を絶たない問題行動など深刻な状況も見受けられ、自分の気持ちを相手に十分伝えられず、暴力や引きこもってしまうなど社会性が欠如した子どもの状況は、コミュニケーション能力の欠如に負うところもあると考えます。 子どもたちのコミュニケーション能力は、本来家庭や地域社会で、友達や大人との豊かなかかわり合いの中でおのずと身につけるものでありましたが、今日家庭教育力の低下や地域社会における人間関係の希薄化などで機会が少なくなりました。 最近では、新たにコミュニケーション能力の基盤となる言葉の力の重要性も指摘されており、大阪府も、現行の教育課程の枠組みにとどまることなく、新しい手法を導入して、子どもたちのコミュニケーション能力を初めとする社会性をはぐくむ取り組みが必要であると考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 竹内教育長。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 人間力の育成についてでありますが、コミュニケーション能力を初めとした子どもの人間力の育成には、言葉がその基盤となり、望ましい人間関係を築く重要な役割を担うものであると認識しております。そのため、国語科を初め各教科や総合的な学習の時間等において、表現する力や理解する力など伝え合う力の育成に取り組んできたところです。 来年度は、こころの再生府民運動の一環として、小中学校を対象に、道徳の時間や特別活動、総合的な学習の時間等を通じて、心の教育や社会性を培う子どもの未来ハートフルプロジェクト事業を実施いたします。この事業の一つとして、適切に自分を表現する力や他者を共感的に理解する力等を身につけさせるため、良好な人間関係づくりをねらいとする参加体験型の学習と、社会体験活動を総合的に連携させたカリキュラムの研究開発を行い、府内の四十一中学校区で開発したカリキュラムを実施いたします。 今後、児童生徒のコミュニケーション能力を基盤とする人間力を培う教育の充実を図り、その成果を府内小中学校に普及してまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、昨今の産業経済の構造的変化、雇用形態の多様化、流動化などを背景として、フリーターやいわゆるNEETの増加が、社会の二極化や格差の固定化につながりかねない社会問題となっています。 高校を中退した人がNEETになることも考えられることから、高校中退者に対する追跡調査を実施し、実態を把握した上でNEETやフリーターの問題に対して対策を立てるべきであると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 竹内教育長。   (教育長竹内脩君登壇) ◎教育長(竹内脩君) 教育委員会では、これまで毎年度府立高校における中退の状況調査を実施し、中退の原因や背景を精査分析することにより、中退防止のさまざまな施策や今後の学校教育のあり方に生かしてまいりました。その結果、中退率については、平成九年度をピークに減少に転じるなど一定の成果が得られております。 しかしながら、中退した生徒の一部が無気力や無目的のまま引きこもりやNEETにつながることも懸念されますことから、中退の要因についてより詳細な原因分析を行うとともに、小中高等学校段階を通しての一貫した進路指導の充実と改善、体験活動等の活用による将来の職業像を見据えた学習の意義づけ、企業や関係機関等との連携など、キャリア教育をより一層推進してまいります。あわせて、平成十八年度からは、府教育センターのすこやか教育相談の中に高校中退者の再チャレンジ支援に関する相談窓口を設置いたします。 今後は、高校を中退した者がどのような課題を抱え、どのようなサポートを望んでいるのかを把握することも必要でありますことから、教育委員会のホームページに中退者向けのアンケートを開設するなどの手法も研究してまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、農業への就労支援についてお伺いをいたします。 現在の農業就労の年齢構成を見ますと、私の世代が六十歳、七十歳を迎えるころには、大阪の農業は終えんを迎えます。 さて、これから定年を迎える方々が、遊休農地などを行政の橋渡しによって、年金生活の中、農業で自給自足の生活を満喫していただくことは、非常に値打ちのあることだと考えています。なぜか。成長するには革新が必要で、大きくは技術革新や過程の革新だと言われております。定年後といえども、異業種から就農されることで、成長に必要な革新的役割を果たされる方が出現する可能性が高く、農業面での新たなビジネスモデルが構築される可能性があります。新たなビジネスモデルの構築は、次の世代への資産となって、若い世代の就農への道が開かれます。 先ほど、私の世代が六十歳、七十歳を迎えるころには大阪の農業は終えんを迎えますと言いましたが、この状況を回避できる重要なシナリオの一つであると、私たちは考えています。そして、これらすべての段階が再挑戦社会を構築する道に通じます。 さて、先日、梅田で開催された新規就農相談会--新・農業人フェアには多くの人が訪れ、定年後は親の後を継いで農業を始めたい、片手間だった米づくりから農業に本腰を入れたい、農地はないが農業にかかわっていきたいという相談が相次ぎ、第二の人生を農のある暮らしで過ごしていこうという人が多かったと聞いております。 団塊の世代が大量に定年退職を迎えようとする中、今後さらにこのような動きを大きくして、スムーズに農業に携わることができるような仕組みづくりや支援策が必要だと考えますが、いかがお考えか。環境農林水産部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 環境農林水産部長草川大造君。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) 就農支援についてお答え申し上げます。 団塊の世代に定年退職後、農業の分野で活躍していただくことは、大阪農業の活性化を図る視点からも望ましいことと認識しております。農業の担い手育成のためには、技術習得、実地研修、そして農地を持っていない都市住民に対する農地あっせんと三つのステップが必要と考えております。 まず、技術習得については、各農と緑の総合事務所が開催する農業ばりばり担い手塾と、食とみどりの総合技術センター農業大学校における短期プロ農家養成コース等を開設し、支援しているところでございます。 また、実地研修といたしましては、三百平方メートルの広い区画を持つ府民いきがい農園を開設しているところであり、今後これらを充実させていきたいと考えております。 さらに、来年度から新たに、農地を持っていない都市住民に、利用可能な農地情報を提供いたしますとともに、大阪府みどり公社が仲介役として農地をあっせんするシステムの構築に取り組むこととしており、団塊の世代や新規就農希望者が農業に参画し、新しい社会づくりに貢献できるよう支援策を講じてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 府民よ大志を抱け、再挑戦社会の構築ということで質問をしてまいりました。 それぞれの担当部局で一定の取り組みがなされていることは理解をしております。しかし、この問題は、対象も多様であり、教育、産業、労働、福祉などさまざまな分野に関係しています。各部がばらばらに施策を実行するのではなく、再挑戦社会の構築の観点から府の施策を改めて検証し、総合的に実施される必要があると思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 先ほども申し上げましたけれども、私は、さまざまな場面においてだれもがその能力を生かすことのできる、いつからでも何度でもチャレンジすることができる活力と希望に満ちた社会でありたいと考えております。そういう思いからさまざまな施策をこれまで講じてまいりましたし、また多様な主体とも連携して、効果的な施策の推進を図ってまいりました。 大阪は、創業件数の増加率は全国の水準を上回っておるということですし、またオンリーワン企業も創出が大変盛んです。特許申請件数も依然として高水準で推移をしておるところから見ますと、大阪の特徴あるいは大阪人の心意気とも言えるチャレンジ精神は依然として持続されていると思いますけれども、御指摘の観点も踏まえて、これからもそういうことがどんどん伸びていくように、総合的、効果的な施策を目指して不断の検証、再構築を進めてまいりたい。そのためにも、十八年度に行う新しい施策評価のシステムを活用したい、このように考えております。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 引き続きまして、府民の繁栄、大交流、商売繁盛、五穀豊穣、大漁豊作についてお伺いをいたします。 まず、東アジアからの観光集客についてお伺いをいたします。 昨年、中国から日本への観光ビザ発給対象地域が中国全土に拡大し、訪日観光が可能な人口が三・七億人から十三億人へと三・五倍になりました。 九州では、各県と経済団体が一丸となって、上海で九州観光をPRするため、ラッピングバスを走らせたり観光資源を発掘するなど、東アジアという巨大な観光マーケットに対して熱のこもった観光客の争奪合戦を展開しています。 観光客の誘致をめぐる熾烈な地域間競争の中、大阪でもさまざまな取り組みが行われておりますけれども、他の地域では味わえない大阪の得意分野を選択して、集中的に磨きをかけることが必要です。旅行の楽しみである食事、そして買い物、お土産は、大阪の得意分野であり、地の地域との違いを際立たせることにつながります。さらに、旅行者の消費は最後の二日間が最初の二日間の二倍以上ですから、大阪を旅の最終宿泊地となるように関空アウトへ誘導すれば、大阪の商売は大繁盛です。 海外からの観光客は、大阪の人は人間味あふれると評判がいいので、人間力では絶対の自信がある大阪が、選択と集中をベースとして大阪の得意とする都市魅力に磨きをかけ、より鮮明な形で大阪の観光魅力を味わってもらうとともに、大阪への経済効果をより高めるような施策を戦略的に展開すべきであると考えますが、商工労働部長の見解をお伺いします。 次に、商売大繁盛についてお伺いします。 創業するなら大阪という時代がありました。地盤、看板、かばんなし、志さえあればという大阪のよき気風、そしてすさまじいまでの大阪のエネルギーを放出していましたが、最近は、大人になったといいますか、落ちついたといいますか、余り感じることができません。 大阪府では、太田知事が就任した平成十二年に大阪産業再生プログラムを策定し、創都大阪の再生、創業のまち大阪をつくるとのかけ声のもと、創業支援のみならず、第二創業とも言うべき中小企業の経営革新、新事業展開を初め、さまざまな支援策の充実に取り組んでこられました。今や、府の中小企業施策は、多種多様、量、質ともに他の自治体にまさるとも劣らぬ施策を展開しています。 しかし、多くの府民の皆さんが、果たしてそのようによくやっていると感じているでしょうか。その認識には、私はかなりのギャップがあると感じています。なぜか。必要とする支援策の情報が、どこかで詰まって、必要とする中小企業者に届いていないからではないでしょうか。 ビジネスチャンスというものは、ちょっとしたきっかけで逃してしまうこともありますし、物にできる可能性もあります。そのためには、何より情報を必要とする人にその情報をダイレクトに届けなければいけません。必要な中小企業支援策が必要な中小企業者に届くよう、さらに工夫を凝らし、施策の利用促進を図っていく必要があると考えますが、商工労働部長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 商工労働部長熊谷敬君。   (商工労働部長熊谷敬君登壇) ◎商工労働部長(熊谷敬君) 東アジアからの観光集客についてお答えいたします。 東アジアから多くの観光客を誘致するためには、大阪の特色ある都市魅力に磨きをかけることが重要であります。お示しの食とショッピングは、旅行者の大きな楽しみの一つでありますが、大阪が最も得意とする分野でもあります。食やショッピングを容易に楽しんでいただくため、今年度は、飲食店のメニューを多言語化するソフトを開発したほか、中国で九億枚発行されている銀行カード、いわゆる銀聯カードを大阪でのショッピングに利用できるよう関係金融機関に働きかけ、実現をいたしました。 今後、食やショッピングを初めとする大阪の得意分野を生かし、特色あるさまざまなツアー商品を開発してまいります。さらに、お示しのように、大阪への経済効果をより高めるため、旅行の最終宿泊地を大阪にするいわゆる関空アウトのツアー商品の開発にも取り組み、大阪での消費拡大を図ってまいります。 次に、中小企業者に対する施策情報の提供についてお答えいたします。 これまでも中小企業支援センターや商工会、商工会議所といった支援機関の窓口、インターネット、メールマガジンといったITを活用したさまざまな媒体を通じ、施策情報の提供に取り組んでまいりました。 また、従来府政情報センターにおいて有料で販売しておりました中小企業者の手引を今年度は民間企業から広告収入を得て大幅に増刷し、府内すべての商工会、商工会議所、大阪市各区役所などにおきまして無料で配付することといたしました。 今後、地域での中小企業に対するサポート体制をより強化するため、地域中小企業支援センターでのビジネスプランの作成支援や中小企業に対する巡回訪問を充実することといたしております。こうした機会も活用いたしまして、中小企業支援策が必要とする中小企業者に十分浸透するよう努めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、五穀豊穣、大漁豊作についてお伺いをいたします。 商標法の改正によりまして、本年四月から商標登録が容易になります。農林水産・生産物のブランド化が加速され、松阪牛とか関アジ、関サバなどの地名プラス生産物の商標がどんどん世に出てきます。府内でも戦略的に進めるべきでありまして、いかに消費者に認知されるブランドをつくり出すかが重要です。 そのために、まず技術開発ですが、環境農林水産部で所管する試験研究機関の食とみどりの総合技術センター、水産試験場、環境情報センターを平成十九年度に統合し、研究の重点化や企画調整機能、成果活用・普及機能の一元化を進めていますが、三機関は異なる分野の技術領域について研究を進めているため、うまく組み合わせて新たな技術開発を進め、生産振興につなげていくことが重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、販売振興ですが、泉州の水なす、河内のぶどうなど地域特産品や、天王寺蕪、毛馬きゅうりなどの古くから親しまれ、愛されてきたなにわの伝統野菜といった大阪の農産物は、食に厳しい大阪の消費者によって鍛えられ、他の産地に引けをとらない品質を有し、全国的にも十分通用をするはずです。 例えば泉州の水なすは、おいしい食し方を広く紹介したことや漬物として関東方面に出荷したことにより、全国に販路を広げて、結果、出荷量が十年前に比べ約二倍となっています。 攻撃は最大の防御なりで、大阪の農業は、一大消費地である首都圏、特にほかの面でしてやられている東京にアンテナショップを設置するなど、徹底的な攻めの販路開拓についていかがお考えか、お伺いをいたします。 また、輸出についてですが、近年、タマネギを初め、海外からの農産物の輸入量が増加傾向にあります。一方で、中国や台湾、シンガポールなどアジア諸国、地域では、経済発展に伴い富裕層が急速に増加し、食生活の質が変わりつつあると言われています。 特に富裕層の間では、見ばえや味がよく、かつ安全性の高い日本産の農産物に対するニーズが高まり、上海では青森県産のリンゴ世界一が一個千五百円で、台湾では新高ナシ一個が千三百円と、日本では考えられないような高値であっても売れているそうです。 日本の農林水産物の輸出総額が三千三百億円を突破し、輸出が順調に推移しておりますので、これまで安価な輸入農産物の攻勢に押され、受け身であった農業ですけれども、大阪農業にあっても、これからは海外に打って出ることも視野に入れた振興策を展開すべきであると考えますが、いかがお考えか。 以上三点、環境農林水産部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 草川環境農林水産部長。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) 農林水産物の生産振興、販売促進について、三つの御質問にお答え申し上げます。 まず、農水産物の生産振興における技術支援についてでございますが、大阪農業や水産業には、安全で効果的な病害虫の防除技術の確立や大阪湾の水産資源の回復などさまざまな技術的課題があり、今後とも試験研究機関による高度な技術開発と研究成果の普及が重要と考えております。 環境農林水産部が所管する食とみどりの総合技術センターを初めとする三つの試験研究機関におきましては、農産物の品質保持技術や稚魚の放流技術の確立、また有害化学物質の分析手法の開発など、これまでも数々の成果を上げてきておりますが、平成十九年度を目途とする三機関の統合後は、異分野の研究者の相互交流が一層進むとともに、農水産業分野の研究開発にも、これまで以上に環境という視点を重視することにより、新たな発想での生産技術や環境改善技術の研究が促進されると考えております。 こうした研究成果をよりわかりやすく効果的に生産者や府民に普及、発信する仕組みを構築していくことにより、大阪の農水産物の一層の生産振興につながる研究開発を推進してまいりたいと存じます。 次に、農産物の販売促進についてでございますが、大阪にはお示しの水なすやぶどうなど地域特産品や、なにわの伝統野菜が数多くあり、それらを中心とする地産地消を農業振興の柱として取り組んでまいりました。今後は、これらの取り組みに加え、より幅広い販路拡大が不可欠と考えております。 販路の開拓支援につきましては、これまで食博覧会・大阪などさまざまな機会に、府内産農産物やそれらを使ったEマーク食品のPRや販売を実施してきましたほか、なにわの伝統野菜の普及に努めてきたところでありますが、このような農産物や加工食品をおおさかの味として、首都圏を初め全国に広げていくことが重要と考えております。このため、来年度、他府県のビジネスマンや観光客が数多く利用するJR大阪駅等の主要ターミナルにおいて、民間団体と連携しながらアンテナショップを運営し、民間による全国への販路開拓を支援してまいりたいと存じます。 次に、農産物の輸出につきましては、輸入農産物が増大し、国内産農産物の価格が低迷する中、海外への農産物の販路拡大は、攻めの農政を展開する上で我が国農業の大きな課題の一つであります。アジア各地域で定着している日本製品に対する信頼の高さを利用して府内産農産物の輸出を促進することは、今後大阪農業を元気づけるための選択肢として検討すべき方策と認識しております。 府内産農産物につきましては、昨年行ったアジアからの留学生を対象とした試食会でも大好評を得たところであり、来年度計画しております大阪・アジア食文化交流推進事業において、アジアの主要都市での府内産農産物の試食会、販売などおおさかの食プロモーションを行い、大阪農業の元気倍増に向け、輸出への足がかりを固めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 大交流という意味での観光政策、商売繁盛という意味での産業政策、五穀豊穣、大漁豊作という意味での生産物のブランド化、技術開発、販路開拓などについて順次質問をしてきましたが、アジア地域では、急速な経済成長に伴い、企業活動を初め観光、留学など、国境を越えて人、物、情報の交流が活発になってきています。 また、国におけるアジア各国との間での地域的自由貿易協定や経済連携協定の締結交渉や、クアラルンプールで開催された東アジアサミットでの東アジア共同体構想に向けた動きなどが注目されています。 こうした背景のもと、現在策定中のアジアの中枢都市・大阪ビジョンが目標とするアジアのにぎわい都市・大阪を実現するためには、大胆な規制緩和により人、物、金、情報が自由に行き交う環境を整え、交流を拡大していくことが大切であると考えますが、ビジョン推進に当たっての知事の決意をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) これからの人口減少社会において、大阪が活力に満ち、魅力ある都市として持続的に発展をしていくためには、人、物、情報が自由に行き交う交流の拠点性をいかに高め、大阪のにぎわいにつなげていくかがかぎになると考えます。このため、現在策定を進めておりますアジアの中枢都市・大阪ビジョンにおいては、海外の人材の活用、創業促進、対内投資等を初め、さまざまな分野においてアジアとの垣根を取り払うとともに、人と人、地域と地域のパートナーシップを築いていくことの重要性を示しました。 これまでも、国際交流特区の設定など経済面、人材面を中心に規制緩和を実現してまいりましたけれども、今後も、このビジョンに基づいて、交流、協働、貢献の三つの視点に立ち、観光集客や交流の多様化など、その推進に支障がある場合には特区制度を活用した規制緩和を国に求めるなど、ビジョンの目指すアジアのにぎわい都市・大阪の実現に向けて積極的な取り組みを行ってまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、府民の感動、美しい景観・環境を創出するまちづくりについてお伺いします。 冒頭に、知事から、心の美しい風景--心象風景などをお伺いしました。呉のまち、山や海、造船所、四季が織りなす瀬戸内海の風景--多分私がイメージするよりも美しい風景であろうと思います。私の方は、すごいレンゲ畑と稲穂と大阪南部の海です。今でもこんなレンゲが咲いています。 さて、ベストセラーになった藤原正彦さんの「国家の品格」で、美しい田園風景について次のように記されています。一部抜粋します。 美しい田園が保たれているということは、美しい情緒がその国に存在する証拠です。イギリスを訪れた人は、だれでも田園の美しさに打たれます。品格の高さが感じられます。経済原理だけでなく、祖国愛や惻隠の情が生きていることでもあります。田園が乱れているというのは恥ずべき姿です。かつて我が国の田園美は、維新のころに訪れたほぼすべての欧米人に、こんな美しい国で一生過ごしたい、日本の田園はすべて公園である、日本の道は夢のようなどと褒めそやされたものでした。その田園は、市場原理によりここ十数年ほどですっかり荒らされてしまいましたと表現されました。 全くそのとおりだと思います。市場原理は必要ですけれども、それだけでは足りないものがあると思います。 さて、大阪府では、景観条例に基づいて大阪府景観形成基本方針を策定しています。この方針に基づいてさまざまな施策を講じていると思いますが、まず環境農林水産部として、美しい景観・環境を創出するまちづくりについてどう取り組んでいるのか。とりわけ、地域の景観を阻害しております遊休農地の現状を踏まえてどのように取り組むのか、環境農林水産部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 草川環境農林水産部長。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) 美しいまちづくりについてお答えいたします。 環境農林水産部におきましては、市街地の緑化、周辺山系や農空間の保全と活用など、府民、企業等との連携協力による総合的な緑施策の推進を通じて、地域の良好な景観や特色を演出する緑豊かなまちづくりに取り組んでまいりました。 しかしながら、お示しのように、農業の担い手不足などにより年々農地の遊休化が進み、十年前に比べ一・七倍に増加した遊休農地が、農空間の景観を損なう一因となっているのも事実でございます。このため、農空間の原風景の一つである棚田を初め、ため池や農業用水路などの農空間において、府民との協働による保全管理、景観づくりを進めており、今年度は約一万三千人の府民に活動に参加いただいております。 さらに、来年度から、土地改良区を中心に、地域住民、NPOなど幅広く参加を募り、遊休農地の解消に向けた計画を策定し、これをもとに農作業の応援団づくりや、美しい景観を演出する作物の栽培などを一連のものとして行う農空間づくり府民協働実践モデル事業を進めてまいります。 このような活動を継続して展開することにより、人々の心に残る美しい農空間を再現し、これを次世代に継承できるよう全力で取り組んでまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、都市の基盤整備や建築物などは、計画を形成する重要な要素で、府として公共事業景観形成指針も定められています。この都市の基盤整備を担う立場からどう考え、取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 土木部長丸岡耕平君。   (土木部長丸岡耕平君登壇) ◎土木部長(丸岡耕平君) 土木部では、大阪府都市基盤整備中期計画に基づき、計画的に事業を進めているところでございます。本計画におきましては、お示しの指針も踏まえ、都市の緑化、景観形成を重要な戦略に位置づけ、計画段階から、緑豊かで安全快適な美しい都市景観などの創造に取り組んでおります。 取り組みの内容といたしましては、地域景観の核となる良好な緑を創出するための府営公園、港湾緑地の整備や、公共施設の緑化による緑のネットワークの形成を進めております。また、まちなみを生かすための無電柱化、周辺の歴史資源や景観と調和した親水空間の整備などを進めるとともに、風致地区の良好な景観の保全にも努めております。 さらに、大阪中央環状線の未利用地を先行的に緑化する中環の森づくりや、地域の顔となる駅周辺を花などで美化する地域の魅力・顔づくりプロジェクトなど、府民や企業、市町村と協働した景観づくりにも取り組んでおります。あわせて、今年度より、土木部の環境配慮指針に基づき、個別の事業ごとに周辺の景観にも配慮することとしております。 今後とも、景観形成に配慮した都市基盤整備に努めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、建築物の整備、誘導やまちなみの形成といった面から、美しいまちづくりについてどう考え、どう取り組んでいるのか、建築都市部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 建築都市部長阪倉嘉一君。   (建築都市部長阪倉嘉一君登壇) ◎建築都市部長(阪倉嘉一君) 建築条例を所管いたしております建築都市部といたしましては、全庁的な連携のもと、景観行政を推進しているところでございます。 府営住宅を初め公共建築物の建設に当たりましては、公共事業景観形成指針に基づき、景観に配慮して計画をしております。また、民間建築物につきましては、幹線道路、沿道など景観上重要な地域を景観形成地域として、大規模な建築行為について届け出を義務づけ、指導を行っているところでございます。 また、景観上すぐれた建築物などを表彰する大阪都市景観建築賞を大阪市、社団法人大阪府建築士会との共催で実施しております。さらに、建築物だけでなく、美しいまちなみを府民の方々に再認識してもらうとともに、国内外に広く知っていただくため、大阪まちなみ百景の公募を行い、現在選定作業に入っております。 また、昨年施行されました景観法を活用して、地域特性に応じた良好な景観の形成、保全をより一層推進するため、各市町村において景観計画を作成するよう働きかけているところでございます。広域的な観点から計画を定める必要がある区域につきましては、府として景観計画を策定することとしております。 今後とも、建築物とまちなみのそれぞれの視点から、美しい景観の形成、保全に努めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 各部長に美しい景観を創出するまちづくりについて、お考えと取り組みをお伺いしました。私は、まだまだ足りないだろうと考えています。 写真は、大阪湾沿いにある波有手(ぼうで)というまちで、まだ防潮堤ができる以前の大阪の自然海岸の風景です。今は、背の高い防潮堤とテトラポットで国土保全され、松林は全くなくなっています。はっきり言って、殺風景で寂しい風景になっています。 自然の摂理として、三十八歳の私より人生の先輩方である皆さんの方が早くこの世を去ると思います。だから、魂を込めて、根性を込めて、美しい景観の創出を私たちに引き継いでいただきたいと思います。 私たちの世代の心象風景は、皆さんよりも美しい風景ではないと思います。私たちがもっと上の世代になったとき、どんな大阪の景観をつくり出しているか、わかったものではありません。 また、評価制度の費用対効果の延長線で、手間暇をかけてつくり出すような景観、歴史や伝統の重みに立脚した景観はつくり出せないだろうと考えます。景観の形成にかかわるような事業の場合、みんなが思い出せるように、大阪の美しい景観創出にどのように貢献するのかというくらいの項目は入れていただきたいと思います。 まちの風景は、政治の姿勢を映し出す鏡です。まちの風景は、行政の仕事ぶりを映し出す鏡です。 今後、より一層各部局が連携しながら、市町村や事業者、府民とも協力してさまざまな事業に取り組み、府民の感動を呼ぶような大阪の美しい景観を創出し、形成していくべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 美しい景観の形成、保全は、観光の振興やにぎわい創造のほか、大阪を愛する心をはぐくむことにもつながる大変重要なことです。 本府では、これまで都市景観、歴史的景観、自然景観など美しい景観の創造、保全を図るために、景観法に先立って独自に景観条例を制定し、景観形成基本方針を定めて、これを推進いたしているところです。 また、花とみどりの街づくりモデル事業、大阪まちなみ百景の選定など新たな取り組みも行っておりまして、府民、行政などから成る大阪美しい景観づくり推進会議を活用した府民運動としての景観づくりも積極的に進めています。 お示しの建設事業評価に際しては、これまでも自然環境や快適性など景観についての御意見もいただいているところでありまして、今後も、評価委員会において審議を受ける際には、景観への配慮の視点にも十分留意しながら説明を行ってまいります。 私は、海外からの出張から帰りますと、大阪はきれいなまちだなと本当に思うんですけれども、イメージの問題もありますから、大阪ブランド戦略などとの連携、あるいは多様な主体との連携をさらに進めて、住む人に潤い、訪れる人に魅力ある美しいまち大阪の実現に努めてまいります。 そして、女性は平均寿命が長うございますから、土井議員とともにこの美しい大阪のまちづくりを見守ってまいりたいと思います。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 次に、大阪湾再生、生活排水処理対策についてお伺いをいたします。 大阪湾の海中風景をパネル写真で見ていきます。私は、春と秋の年二回、せんなん里海公園に潜って海中写真を撮っております。 今写っている写真は、五月上旬の写真です。海の中では、冬から春先にかけてホンダワラなどの海草が成長して、森のような風景になります。魚は、ほとんど稚魚ばかりです。夏になりますと、海草は枯れて殺風景になりますが、海水浴シーズン到来で、浜はにぎやかになり、海水は濁って視界が悪くなります。秋になりますと、水も澄んできて、魚はあふれます。写真は、十月の海中で、魚はグレです。 せっかくですから、気分転換にもう一枚。これは、伝説の海岸、サーファーのメッカ、サーフィンのメッカ、岬町の隣の磯ノ浦です。季節は、夏ではなくて真冬の一月の風景です。近所の若者や市職員のサーファーたちは、みんなここへ行きます。大阪の海岸にも伝説の海岸があったらなと思うところです。 さて、気分転換は終了しまして、質問に入ります。 平成十五年三月に策定しました大阪府生活排水処理実施計画において、市町村が地域の特性に最も適した整備方針を選択することで、平成二十二年度における生活排水の一〇〇%適正処理を確保することとしました。平成十七年度がその中間年に当たります。これまでの状況と取り組みについて、環境農林水産部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 草川環境農林水産部長。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) 生活排水処理対策についてお答え申し上げます。 平成十五年に策定をいたしました生活排水処理実施計画を推進いたしますため、市町村に対し下水道や合併処理浄化槽などの処理施設整備に伴うコストの試算方法を提示いたしますとともに、市町村が実施した経済性比較検討結果の妥当性などについて、土木部、健康福祉部、それから当部が共同で確認することにより、市町村が策定する生活排水処理計画が、地域の実情に最も適した実効性あるものとなるよう助言してまいりました。 その結果、平成十七年三月末までに生活排水処理施設の整備がほぼ完了した市町を除いた三十三市町村のうち、十七市町村で計画の策定、見直しが終了しております。また、残りの十六市町につきましても、現在整備方策についての経済性比較検討などが行われており、来年度中にはすべての市町において計画の策定、見直しが行われる見込みでございます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇)
    ◆(土井達也君) 続きまして、土木部では、下水道の整備について、平成二十二年から十五年先であります平成三十七年を目標とする大阪湾流域別下水道整備総合計画の策定に入ろうとされていると伺っております。流域の生活排水対策の中心は下水道の整備であり、策定に当たっては、府及び市町村の関係課が連携協議して、下水道が速やかに整備されない地域につきましては、計画区域の縮小も検討する必要があるのではないかと考えますが、計画策定の方向についてお伺いをいたします。 また、従来から、コスモス計画やローズプランが策定され、大阪府としての整備方針を示し、事業の推進を図ってきました。しかし、今後は、市町村計画に引きずられるだけではなくて、総事業費の縮減など下水道計画の見直しや効率化について、府として主体的な目標が必要であると考えますけれども、土木部長の見解をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 丸岡土木部長。   (土木部長丸岡耕平君登壇) ◎土木部長(丸岡耕平君) 初めに、大阪湾流域別下水道整備総合計画策定の方向性についてお答えいたします。 本計画は、下水道法に基づく基本計画で、大阪湾や府内河川における水質環境基準達成を目的に、下水道処理の対象となる人口、区域、水量や放流水質などを定めたものでございます。今年度の下水道法改正に伴い、処理場ごとに放流水に係る窒素、燐の削減目標を定めることとなったため、本府では、本計画について平成十九年度末の改定に向け見直し作業に着手したところでございます。 計画の改定に当たっては、市町村や庁内関係部局と協議調整を図りながら、将来人口の減少や節水型社会を踏まえた適正な汚水量や、生活排水処理計画と整合した下水道計画区域の設定を行ってまいります。 次に、生活排水対策における本府の主体的な下水道事業の推進につきましては、生活排水対策は、市町村が地域特性などを踏まえ、公共下水道や合併浄化槽など、最も効果的で経済的な整備方策をみずから選択し、実施していくこととなっております。本府といたしましては、市町村の生活排水処理計画との整合性を図りながら、効率的に流域下水道事業を進めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 府内市町村では、財政状況が悪化してきております。現在のペースで下水道整備を進め、財政破綻を来す市町村に対する府の対応策というのはどうなっているのか。また、平成十八年度から地方債の許可制度が協議制に移行し、地方の裁量が大きくなる中で、市町村下水道が安定した経営が可能となるよう企業会計を導入すべきであると考えますが、総務部長の見解をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 総務部長山登敏男君。   (総務部長山登敏男君登壇) ◎総務部長(山登敏男君) まず、市町村財政への影響についてでございますが、大阪市を除く府内市町村の下水道事業会計に対する一般会計からの基準外の繰出金は、近年料金改定などの経営努力もございまして、五年間でおよそ百三十五億円は減少いたしておりますけれども、平成十六年度決算で約二百四十億円と市町村財政に大きな影響を及ぼしているところでございます。 下水道事業は、公営企業として基準外繰出金に頼ることなく運営されることが望ましく、計画的、効率的な投資と料金水準の適正化、維持管理コストの縮減などに努める必要がございますので、今後とも下水道経営の健全化が図られますように助言に努めてまいります。 次に、企業会計方式についてでございますが、地方公営企業法におきましては、水道、病院、鉄道などの事業について、企業会計に基づく会計処理が義務づけられておりますが、下水道事業については、一般行政との関連が密接であり、経費の相当な部分を一般財源で賄わなければならないことから、市町村の判断にゆだねるとされているところでございます。 企業会計方式は、発生主義の原則に基づき減価償却を行うなど、年度内に発生した収益と費用を明確にいたしますとともに、資産、資本及び負債を明らかにする貸借対照表を作成するなど、企業の経営状況の透明性を高めることに資するものでございますが、導入市町は、大阪府内では大阪市を含め三市にとどまっている現状でございます。 下水道会計は、一般会計繰入金で賄う雨水処理と料金収入のある汚水処理を合わせた会計となっておりますことから、他の公営企業会計と比べますと収支が明確でないなどの課題もございますが、府といたしましては、市町村の意向や実情等も踏まえながら、導入の促進に向けまして適切な助言に努めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 府内では、下水道整備の取り組みが約十年という歴史の浅い地域もあります。流域下水道の整備も、北部地域に比べてかなりおくれている地域もあります。また、財政的にも脆弱な自治体が多い中で、下水道整備の推進に懸命に取り組んでいます。 私は、平成二十二年までに生活排水適正処理一〇〇%の目標に賛同しますし、そのためには合併処理浄化槽の整備促進が重要な課題であると考えます。しかし、市町村では、整備方針の転換を指示されましても、下水道整備の各種計画や流域下水道の負担金など整理しなければならない課題が山積し、なかなか進められないのが現状であると思います。大阪府はどのような支援を行うのか、土木部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 丸岡土木部長。   (土木部長丸岡耕平君登壇) ◎土木部長(丸岡耕平君) 市町村が整備方針を転換した場合の本府の支援についてお答えいたします。 市町村が生活排水処理計画を見直すことで、下水道法や都市計画法に基づく計画の見直しが必要となる場合には、速やかに変更できるよう国との協議を行ってまいります。あわせまして、流域の関係市町村の間で流域下水道事業負担金等の変更が生じる場合には、市町村間の調整を行ってまいります。 今後とも、市町村の生活排水対策が迅速かつ円滑に推進されますよう適切に支援を行ってまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 本年二月から、廃止届や検査の指導など、維持管理について知事の監督権限を強化しました改正浄化法が施行されました。 今後、合併処理浄化槽に対する府民の信頼性の向上のためにどのような対策を講じるのか、また今年度、市町村設置型事業への府費補助制度を創設されましたが、さらなる市町村への支援策について健康福祉部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 健康福祉部長納谷敦夫君。   (健康福祉部長納谷敦夫君登壇) ◎健康福祉部長(納谷敦夫君) 浄化槽事業についてお答えをいたします。 まず、府民の浄化槽に対する信頼性向上につきましては、浄化槽法の改正に合わせまして、約二十万基ある浄化槽の実態を正確に把握するとともに、保健所や指定検査機関、市町村などと連携をして、適正管理の徹底や合併処理浄化槽の普及啓発に取り組み、府民の信頼とイメージの向上に努めてまいります。 次に、市町村への支援につきましては、平成十五年の府生活排水処理実施計画策定以降の取り組みによって、今年度から富田林市が府域初の市町村設置型事業を開始し、また来年度からは、大東市、河内長野市、枚方市でも実施を予定されておられます。 今度とも、市町村が早期に事業着手する上での課題を把握し、今年度拡充をいたしました補助制度の十分な活用を図りながら、市町村に対して必要な支援に努めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 各部長から、それぞれの部としては大変ごもっともな答弁をちょうだいしました。しかし、この件は、それぞれの部局がきれいごとの答弁で切り抜けて、それぞれの持ち場で最善を尽くせば尽くすほどますます議論が複雑になって、また全体の最適な状態から外れていく典型例です。 下水道対合併浄化槽という構図ができ上がっておりますが、これはイデオロギーでもなくて、セクショナリズムでもなくて、パレート最適の議論です。お互いもっと協力協調していただきたいと思います。生活排水処理を高めるためにいま一度原点に返って、どういう下水道と合併浄化槽、その他既存施設であるコミプラなどの組み合わせが、時間と府内行政コストの面から効率的に事が運ぶのかを真摯に合理的に判断していただきたい。 また、下水道は、府では市町村計画との整合性、市町村では府計画との整合性という、こういう話になってきます。ここをちゃんと整理しないと、市町村の体力が落ちていく中、見殺しにすることにもなりかねません。もちろんこの件は、市町村を抜きには考えられません。もつれた糸を丁寧にほどきながら、市町村に対し住民負担まで考慮したシミュレーションを示すべきだと考えます。 下水道整備と合併浄化槽整備の工事トータルコストはもとより、近隣市町村を含んで負担金が変更になりますので、その変更額、大阪府の流域下水道会計への影響額、市町村の都市計画税への影響、市町村の一般会計から下水道事業への繰入額の変動、そして最も注意を払うべきは住民の皆さんの負担額の変動など、市町村にとっては余りにも未知数の多いことがネックであると考えられますので、トータルのパッケージでシミュレーションを示すべきであると思います。 深刻なのは、下水道であれ合併浄化槽であれ、生活排水処理の整備に費やすお金を捻出することができなくなった市町村も出てきていることです。五日前の平成十八年三月一日、あるまちの定例会での首長答弁の要旨を紹介します。 現在、本市で進めている下水道一〇〇%の整備計画は、大阪府の計画と整合する。しかし、現在の財政状況では、下水道普及率が三三・四%の中、下水道整備は対前年度比で約一%強の普及率しか望めない。一方、合併浄化槽も財政的裏づけが必要、現時点で政策転換は時期尚早という答弁です。市町村の下水道事業答弁の典型例ですが、何とも深刻な状況に置かれています。そして、十八年度も、下水道普及率三三・四%の中、下水道一〇〇%整備計画を選択し、実行します。 知事の掲げた大阪21世紀の環境総合計画における平成二十二年度生活排水一〇〇%適正処理の思いとは、さまざまな形で格差、そごが生じています。そして、知事のリーダーシップが必要です。 魂を込めて、下水道と浄化槽の適正化、大阪21世紀の環境総合計画における平成二十二年度生活排水一〇〇%適正処理に向けて、関係部局が今まで以上に本音で連携を強化して、苦しんでいる市町村を見殺しにすることなく、トータルのパッケージでシミュレーションを示すなど、きちんとした調整役としてその使命を果たしていただきたいと思います。知事の確固たる決意と支援の表明についてお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 大阪21世紀の環境総合計画で定めました目標を達成するためには、市町村が地域特性に応じて、下水道に加え、合併処理浄化槽などを適切に組み合わせて、生活排水処理施設の整備を進める必要があります。本府では、平成十五年三月に生活排水処理実施計画を策定して、市町村に対し効率的で効果的な処理施設の整備を働きかけてまいりました。 今後、関係部長で構成する生活排水対策推進会議に新たに専門部会を設置して、部局間連携を一層強化いたします。そして、御指摘のように、府民負担が一番大事な視点なわけですから、下水道と合併処理浄化槽について、府民負担を含めた経済性比較手法を市町村に提供するなどして、それぞれの地域に適した処理施設の整備を進める、そして生活排水の一〇〇%適正処理に向けた取り組みを強化したい、このように考えております。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。 続きまして、府民のやる気、大阪企業・大阪人の社会的活動との連携について金利優遇政策をお伺いをいたします。 まず、環境面からですが、宮城県では、環境計画と連携して、県内に営業所を持つ銀行や信用金庫など三十六社に、環境に配慮した事業を進める企業、また環境にやさしい商品を購入する個人に金利を優遇した金融商品の開発拡大を要請しました。金融機関も、社会的活動の一翼を担う以上、果たすべき役割があり、補助金などは出さないということで、環境に配慮した経済システムの構築に取り組んでいます。東京でも、具体的な成果は聞きませんが、金融機関への要請は行われているようです。 まだみんな要請の段階のようですが、大阪も頑張れ、負けるなということで、府民や府内事業者が環境に配慮した取り組みをより進めやすくするように、金融機関のニーズなどを把握し、金融機関の自立性、独自性を尊重しながらも連携していくべきであると考えますが、環境農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 草川環境農林水産部長。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) 金利優遇政策についてお答え申し上げます。 環境問題の解決には、事業者を初め、すべての主体がそれぞれの役割を自覚し、環境配慮に積極的に取り組んでいくことが重要と存じます。 お示しのとおり、金融機関の金利優遇商品の普及を通じて府民の環境配慮行動を進めることは、一つの誘導策と考えられますことから、昨年末、先進的な取り組みを行っている金融機関等に対するヒアリングを行うとともに、本年一月には、府内に本支店を置く九十四の金融機関に対しアンケート調査を行いました。 この結果、既に多くの金融機関が、省エネ住宅を購入する個人や環境ISOの認証を取得した事業者などに対し、優遇金利を適用する環境配慮型金融商品の販売を始めており、また金融機関としても、このような金融商品の幅広い普及を図るため、地方自治体のホームページでの紹介や新たな商品開発のため、環境保全に関する行政の動向、環境配慮に積極的に取り組む事業者の情報を求めていることが判明いたしました。 このため、府の環境ホームページでこうした府民や事業者の環境配慮行動を促進する取り組みを紹介するとともに、金融機関に対し環境に関する情報を提供いたしますなど、連携を深めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 環境と同様に、急速な少子化に対応するため、事業所などの託児所の開設や子育て支援に貢献している企業への金利優遇なども全国的には見受けられます。金融機関と検討、協力していくべきではないかと考えますが、現在の状況や今後の取り組みにつきまして生活文化部長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 生活文化部長伊藤誠君。   (生活文化部長伊藤誠君登壇) ◎生活文化部長(伊藤誠君) 少子化対策のための企業との連携についてお答えいたします。 急速な少子化の進展の背景には、ライフスタイルの多様化、家庭・地域の子育て力の低下や、仕事と子育てを両立する環境整備のおくれなどさまざまな要因があると考えられますが、少子化対策の推進に当たりましては、御指摘のように企業との協働が大変重要であると考えます。 これまで、男性も女性も生き生きと働くことのできる取り組みを進める事業者を顕彰いたします男女いきいき・元気宣言事業者制度や、民間企業による取り組み事例をデータベース化し公表するなど、仕事と家庭の両立を支援する企業の取り組みを後押ししてきたところでございます。 今後、企業との協働方策として、御提案の点も含め、さらにどのようなことが可能なのか検討いたしますなど、社会全体で少子化に向けた効果的な施策展開が図られますよう取り組んでまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 各分野におきます企業の社会的活動を支援する金利優遇策について質問をしてまいりました。各部署がばらばらに取り組むよりも、総合的な取り組みをした方がよいのではないかと考えます。 さて、大阪府でも、災害時における飲料水の提供、食生活の向上につながる健康弁当の開発など、企業と協働した取り組みが進んでおりますが、企業がその特色を生かして地域のために活動されることは、社会の安全や安定に向け大きな力となります。 企業の社会的活動を支援するため、その方策の一つとして金融機関と協調した金利の優遇を提案しましたが、特段の予算を割かなくても、知恵を絞り、工夫を凝らせば、まだまだ有効な方策が打ち出せるものと考えます。大阪の課題を共有し、ともにその解決を目指すよき友として、企業が行う社会的活動を積極的に支援していくべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 人口の減少や少子高齢化など社会が大きな転換期にあります中で、将来にわたって大阪がにぎわいに満ち、ゆとりが感じられる都市であり続けるということのためには、これまでの成長拡大を前提としたパラダイムを転換して、官と民が連携して力を束ね、社会変化に伴うさまざまな課題に対して斬新な発想でチャレンジをしていかなければならないと考えます。 環境の保全や良好な都市環境の創造、子育て支援に向けた新たな雇用システムの導入など、企業の主体的な取り組みが求められている面も多々あると思いますので、お示しの手法も含め、こうした活動を奨励し、支援していくための方策について十分検討してまいります。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(美坂房洋君) この機会にあらかじめ会議時間を延長いたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 次に、府民の安心、さまざまな危機に備えて、順次お伺いをしてまいります。 まず、事故災害対策ですが、大阪の臨海地域では、毒物、劇物を保管しているタンクが点在をしております。タンクが老朽化し、事業所外に流れ出れば、重大な事故災害や自然災害の二次災害につながるおそれもあります。 このような事態に至らぬよう予防対策が重要ですが、現在、毒物、劇物を保有する事業者には届け出を必要としないものもあると聞いています。これらの施設における毒物、劇物の管理状況はどうなっているのか、また災害防止対策の観点から今後どのような取り組みを行うのか、健康福祉部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 納谷健康福祉部長。   (健康福祉部長納谷敦夫君登壇) ◎健康福祉部長(納谷敦夫君) 毒物、劇物の災害防止対策についてお答えをいたします。 毒物や劇物を取り扱うすべての業者は、毒物及び劇物取締法により、毒物や劇物が事業所外に流れ出ないような対策を講じる義務がございます。このうち、毒物・劇物製造業、輸入業及び販売業者には、本府職員が定期的に立入検査を行い、毒物や劇物タンクなどの貯蔵設備の安全性を確認いたしております。 一方、製紙工場など製品製造過程で毒物や劇物を使用する事業所については、毒物及び劇物取締法に基づく届け出義務がなく、事業所の把握ができない状況にございます。このため、平成十五年度から、こうした届け出義務のない事業所での管理状況も確認するため、販売業者などの協力を得ながら事業所の把握調査を実施いたしました。把握できた事業所について立入調査を行ったところ、事故防止に対する事業者の意識は高く、タンクから漏えいした液が事業所外に流れ出ないよう流出防止壁を設置するなどの対策がなされておりました。 今後とも、毒物、劇物を取り扱う事業所への立入調査などにより法律の遵守を指導するとともに、災害防止の観点からも取り扱い上の留意事項をまとめたパンフレットを配付するなど啓発を進め、府民が安心できるよう取り組んでまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、緊急事態への対処ですが、水源事故はコイセンサーで対応されておりますけれども、そもそも浄水場そのものを悪意を持って制圧され、毒物、劇物が混入された場合、府民への被害ははかり知れません。浄水場は危機管理上の重要施設であると考えますが、現在講じている安全対策と今後の取り組みについて水道企業管理者にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 水道企業管理者芝池幸夫君。   (水道企業管理者芝池幸夫君登壇) ◎水道企業管理者(芝池幸夫君) 水道浄水場の安全対策についてでありますが、府営水道におきましては、日ごろから水質事故や地震災害など緊急時に備えた危機管理が極めて重要と考え、事故対策マニュアル、緊急配備体制などの整備に努めております。 特に浄水場や取水場など重要な施設では、二十四時間体制で毒物等の水質監視や外部からの侵入に対する警備を行っております。万が一浄水場に侵入され、毒物等が混入された場合には、直ちに送水停止を行い、市町村水道に対する緊急連絡など迅速かつ的確な対応を行ってまいります。 また、悪意を持って制圧されるような事態が発生し、国において武力攻撃事態対処法に基づく事態認定がなされた場合には、この一月に策定いたしました大阪府国民保護計画等に基づき、府警察、消防、自衛隊などの関係機関に対し必要な支援を求めることといたしております。 今後とも、こうした危機事象の発生を想定した訓練を充実するなど、水道施設の安全対策に万全を期してまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、子どもの安全対策についてですが、現場が混乱しているぞという声が上がってきている地域もあるそうです。現場とは、子どもの安全にかかわっているボランティアの皆さんです。そもそも論でいえば、関係部局が教育委員会、生活文化部、府警本部の三つにまたがっていることに端を発しているようです。 大阪府では、子どもの安全対策に力を入れ、再生重点枠事業として予算計上し、それぞれに特色のある取り組みですが、重要な点は、三つの関係部局が縦割り行政の弊害を排除して、むだのない本当に現場で役立つ安全対策を打ち出すことです。子どもの安全を府が一体となり、連携して効果的に推進するのであれば、三つの部局を調整する役割が今後ますます不可欠であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 子どもの安全確保につきましては、学校の安全管理、通学路等の安全なまちづくりや子どもを守るコミュニティづくり、子どもへの安全教育など、庁内の部局横断的な取り組みが求められています。 本府では、平成十四年度に設置をしました全部局で構成する安全なまちづくり推進本部のもと、庁内の緊密な連携によって、子どもの安全確保に向けた施策を総合的に推進しているところです。この取り組みを一層確かなものとするために、来年度には、生活文化部に安全なまちづくり推進課を設置しまして、子どもの安全に関する施策の総合調整機能を強化することにいたしました。 今後も、部局間連携による施策の実施だけではなく、個々の施策の相互連携によって相乗効果が発揮できるように創意工夫し、地域が一体となった取り組みが促進されるように、市町村等との連絡を密にしながら、子どもの安全確保に全庁一丸となって取り組んでまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 子どもの安全確保のために地域安全マップ共有システム事業が実施されます。安全マップは、学校の先生や地域の大人だけでつくっていては子ども自身の安全意識の向上にはつながりません。子どもの安全意識を高めるためにも、子どもみずからが点検して、地図を作成することが重要であります。いかがお考えか、お伺いをいたします。 また、地域安全マップを子どもがつくったら、そこでわかった危険箇所を私たち大人が改善すべきだと考えます。来年度、子どもの安全まちづくりモデル事業を実施しますが、これを地域全域に広げて、子どもにとって安全なまちづくりの実現を図るべきであると考えますが、以上二点、生活文化部長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 伊藤生活文化部長。   (生活文化部長伊藤誠君登壇) ◎生活文化部長(伊藤誠君) 子どもの安全対策についての二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、地域安全マップ共有化システム事業についてでございますが、子どもの安全を確保するためには、通学路等の安全点検などを通じ、危険箇所などの情報を市町村や学校のみならず、保護者や地域で共有することが大変重要でございます。このため、各小学校区で作成されております地域安全マップを来年度からはデータベース化いたしまして、インターネットを通じて市町村や学校、地域において最新の安全情報の共有化を促進してまいります。 御指摘の子どもの視点に立ったマップづくりにつきましては、八尾市や寝屋川市等で実施されておりますが、マップの作成過程におきまして現地調査などの体験活動を取り入れるなど、子どもたち自身が参加して通学路等の点検を行いますことは、子どもの安全意識の向上を図る上で一つの有効な方法と考えております。 本府といたしましては、本事業を実施してまいります中で、各小学校で作成しているマップの情報を集約する機会などをとらえ、子どもたちが参加したマップづくりの進め方や事例を紹介するなど、子どもの安全意識の向上につながる取り組みが進みますよう、教育委員会と連携し市町村に働きかけてまいります。 次に、通学路の安全なまちづくりにつきましては、これまで歩車道の分離さくの設置や道路、公園における見通しの確保など、通学路等における安全確保の指針に沿った環境整備の推進に努めているところでございます。 さらに、来年度、府内三カ所の小学校区で実施いたします子どもの安全まちづくりモデル事業におきましては、市町村、学校、地域が連携しながら、緊急通報装置や防犯ベル、カーブミラーの設置、植栽の剪定など危険箇所等の改善プランを策定し、通学路等における安全環境の整備を促進することとしております。 今後、こうした取り組みが、モデル地区だけにとどまることなく、府内全域で展開されますようモデル事例などを盛り込んだまちづくりのガイドブックを作成し市町村に配付するなど、子どもの安全に配慮したまちづくりの推進に努めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 次に、アスベスト対策についてお伺いします。 私が育ちました阪南市は、古くから地場産業として石綿紡織を営むアスベスト製品製造工場の多数立地しておりました地域です。現在では、細々と今でもはさみを使ってアスベスト紡織品を加工している工場もあります。そのほとんどは姿を消しておりますが、住宅地や駐車場に変わっております。 大阪府では、昨年、平成元年から平成十七年の間に法律や条例に基づく届け出があったアスベスト製品製造工場九十一工場の名称や所在地などを公表しました。その公表の中では、泉佐野市以南の地域は三十四社となっています。しかし、私の手持ち資料では、アスベストに関する法的規制が始まる前後の昭和四十七年、一九七二年当時、泉佐野市以南では六十五の工場が立地していたという記録が残っています。 アスベストを原因とする中皮腫や肺がんの発症は、暴露してから四十年前後の非常に長い潜伏期間があることを考えた場合、その当時どういう暴露リスクがあったのかを当時の従業員や住民の皆さんに情報を提供して、注意を喚起する必要があると考えます。早急に、最盛期であった昭和四十年前後におけるアスベスト製品を製造していた工場の実態を調査して、公表することが必要であると考えますが、いかがお考えか。環境農林水産部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 草川環境農林水産部長。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) アスベスト対策についてお答え申し上げます。 過去のアスベスト製品製造工場の実態につきましては、大気汚染防止法の改正により、アスベスト製品製造工場の届け出が義務づけられた平成元年から昨年八月までの間に、法及び条例に基づく届け出があった九十一工場すべてについて現地調査を行い、操業状況や工場閉鎖、製造中止の現状を確認し、昨年九月二日にこれらの状況を取りまとめ、公表したところでございます。 お示しのように、アスベストを原因とする中皮腫や肺がんは、暴露から非常に長い潜伏期間を経て発症することから、さらに過去にさかのぼってアスベスト製品製造工場の実態調査を行うことは意義あることと認識いたしております。このため、早速来年度から、本府が保管している資料の調査はもとより、市町村や関係機関にも協力を求め、資料収集を行うとともに、必要に応じて現地調査も織り込み、その実態把握に努めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、アスベストの健康対策ですけれども、これから非常に長期間にわたって健康不安を抱える方々一人一人を大切にして、丁寧に支援していくということが大変重要であり、大きな課題です。 大阪府では、来年度以降の検診を市町村の肺がん検診で受診勧奨することとしておりますが、市町村の実施体制は本当に大丈夫でしょうか。府としても円滑に進むよう後方支援すべきだと考えますが、どのような支援を考えているのか。また、来年度は、アスベストに関する健康影響調査と健康リスク評価調査を環境省と共同して実施するとのことでありますが、どのような調査を行うのか。また、調査の際には一人一人の実態を親身になってよく聞いていただきたいと思いますけれども、健康福祉部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 納谷健康福祉部長。   (健康福祉部長納谷敦夫君登壇) ◎健康福祉部長(納谷敦夫君) アスベストに関する健康対策につきましては、国や市町村の体制が整うまでの緊急措置として、アスベスト疾患の発見手法を取り入れた肺がん検診を行うとともに、これを市町村と共同実施することでアスベストに関する相談に対応し、一人一人の問診票や検診結果を共有するなど、来年度以降の市町村肺がん検診につなげていく仕組みとしたところでございます。 このため、府といたしましても、この三月に市町村の肺がん検診に従事する医師等を対象に、アスベスト疾患や今回の肺がん検診の結果の解説などを研修する予定です。さらに、検診の結果、アスベストの影響が疑われる場合には、今回の精密検査を担当した専門医療機関へ紹介するシステムを整備し、市町村の肺がん検診が円滑に実施できるよう支援に努めてまいります。 次に、環境省との共同調査につきましては、まずアスベストに関する健康影響調査は、中皮腫で亡くなられた方々の職業歴や居住歴などを御遺族などにお聞きするものであり、健康リスク評価調査は、一定の集団に数年にわたって検診を受けていただき、その結果を分析するものでございます。これらの共同調査は、今回の緊急肺がん検診の結果なども踏まえ、アスベスト健康対策専門家会議の御意見も伺いながら実施をしてまいります。 なお、調査の際には、一人一人の当時の状況をできるだけ詳しくお聞きすることはもとより、この三月に施行されます石綿による健康被害の救済に関する法律の内容や手続の情報もお伝えするなどきめ細かな対応に努めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) よろしくお願い申し上げます。 続きまして、地球温暖化対策についてお伺いします。 二月十二日のイギリス・インディペンデント紙では、地球温暖化について、もう戻れない、我々の特別調査では世界の危険な気温上昇はもう避けられないと報じています。最近、地球温暖化については、悲観的な報道が多くなりました。大阪でも、オフィスビルや家庭からの二酸化炭素排出量は大幅に増加をしております。 西野修平議員が毎月十六日をストップ地球温暖化デーにと訴え、京都議定書発効一周年の二月十六日にはシンポジウムが開催されました。毎月十六日のストップ地球温暖化デーで対策の重要性を繰り返し訴え、府民一人一人の意識を変えていく府民運動として着実に定着するよう、継続的な仕掛けづくりをしていく必要があると考えますが、今後の展開方針をお伺いいたします。 続きまして、花粉症対策ですが、東京都では、杉の木などに花粉を減らす注射を打っておりましたけれども、さまざまな問題から平成十六年度で中止したと伺っております。その後、多摩産の木材を利用した住宅やマンション建設に対して、先ほど質問しました補助金なしの金利優遇政策で、地元金融機関と連携して地元木材の利用や流通を活性化させる作戦をとっています。大変理にかなった作戦です。 杉、ヒノキなどの人工林は、手入れがなされず、過密な状態になることによって花粉を多くつけるので、花粉症の発症を抑制するためには、森林整備としての間伐や枝打ちといった作業を通じて花粉飛散量を減らすことが確実な方法です。しかし、林業の採算性悪化で、切ってもだれも山から出さず、利用されない状況があります。 木材の利用が進むことによって低迷している林業の生産活動を活発にして、森林の適正な管理が進み、花粉飛散量も減少するものと考えますが、現在大阪府では間伐材の利用促進に向けてどのような取り組みを行っているのか。また、森林の整備では、杉、ヒノキなどの針葉樹の植栽だけではなくて、四季の変化に富んだ広葉樹の植栽も進めていくべきであると考えますが、環境農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(美坂房洋君) 草川環境農林水産部長。   (環境農林水産部長草川大造君登壇) ◎環境農林水産部長(草川大造君) 地球温暖化対策についてお答え申し上げます。 地球温暖化対策を進める上では、二酸化炭素の排出量が増加している家庭やオフィスなど民生部門の対策が重要でありますことから、毎月十六日をストップ地球温暖化デーとし、啓発活動を推進していくことといたしました。 京都議定書発効一周年に当たる先月十六日には、キックオフイベントとして府民シンポジウムを開催いたしましたほか、パンフレットやポスター、環境教育用のCDとDVDを作成し、府民啓発に努めております。また、府域に約二千七百店舗あるコンビニエンスストアと連携して、地球温暖化対策を推進するための地域協議会を結成し、店舗の省エネルギー化を図りますとともに、周辺住民に対して情報発信を行ってまいりたいと考えております。 さらに、地球温暖化防止活動を府、市町村、事業者団体等で構成する豊かな環境づくり大阪府民会議の重点行動として位置づけ、各構成団体の協力を得ながら、府民運動として定着するよう努めてまいりたいと存じます。 次に、花粉対策についてでございますが、間伐など多様な公益的機能を有する森林の適切な整備は極めて重要であり、花粉飛散量減少の一助ともなると考えます。間伐材は、木材価格の低迷等により、残念ながら林内放置が多くなっている現状にございます。このため、大阪府木材利用推進指針で定めた年間使用目標量千七百立方メートルの達成を目指し、治山事業や公園施設整備等公共の率先利用を推進するとともに、木質ペレット等の間伐材製品について市町村での利用も積極的に働きかけるほか、大阪府リサイクル製品認定制度を通じて広くPRするなど一層の利用促進を図ってまいります。 また、森林の整備につきましては、府が実施する公共事業を中心に、森林所有者の意向も踏まえながら、クヌギ、山桜等地域特性を生かした広葉樹の植栽にも努めているところでございます。 今後とも、それぞれの土地にふさわしい木を植えることを基本に、おおさか「山の日」等の府民協働での植樹活動を通じて、多様な樹種による森づくりにより一層努めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 次に、耐震構造偽装問題です。 建築基準法の改正以降、建物の耐震構造は大丈夫だという前提も危ぶまれる事件が発生しました。今後、耐震構造偽装対策はさまざま考えられますけれども、構造の設計者の責任を明確にするため対策が必要です。例えば、建築確認申請書に構造の設計者名を明記したり、完成した建物に関与した意匠や構造の設計者名を明記したプレートを取りつけるなど考えられますが、どのような対策を講じられるか、お伺いをします。 また、職業に対する誇りが失われ、利益ばかり考える世の中であれば、いかに役所をだまして、消費者をだまして、チェック機能をかいくぐり利益を上げるかという風潮を助長しかねません。 建築家の安藤忠雄さんは、安全安心に住めることが建築の大前提、私の設計した建築物には現場監督や職人の名をすべて記したプレートをつけた、建物におのおのの責任を刻むことが重要だと言われています。同感です。この国の奈良時代や平安時代から、宮大工さんは、建立した神社仏閣の柱の陰などにそっと名を刻んだり、自分の大工道具を柱の上に置いていったりしました。これは、仕事に対する誇りです。 建物に堂々と名を刻み、責任ある仕事、誇りある仕事を奨励すべきであると考えますが、いかがお考えか、建築都市部長にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 阪倉建築都市部長。   (建築都市部長阪倉嘉一君登壇) ◎建築都市部長(阪倉嘉一君) 耐震構造偽装問題についてお答えします。 構造設計者の責任を明確にするための対策については、今回の偽装事件を踏まえ、国の社会資本整備審議会において検討が進められております。先日取りまとめられました中間報告には、設計を行った建築士の責任を明確にするため、設計図書や確認申請書などに担当したすべての建築士の氏名などを明示することが提案されております。 これらの対策につきましては、今国会において必要な関係法令の改正がなされると聞いておりますので、この制度改善も踏まえながら府内特定行政庁などと連携し、設計者の責任を明確にするよう適切に対応してまいります。 また、このような事件を起こさないためには、建築にかかわる者がみずからの仕事に責任と誇りを持てるよう、御指摘のように建築関係者の名前を残すことも一つの方法であると考えられます。このため、府内の行政や建築士団体、建設技能者を含む専門工事業者の団体なども参加いたします大阪府建築物安全安心推進会議の場において、お示しの建築関係者の名を記したプレートの事例を紹介するなど、構造計算担当者を含む設計者や現場に携わる者の名前を残すことについて業界の機運を高め、みずからの取り組みがなされるよう努めてまいりたいと存じます。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 続きまして、庁舎整備です。 昨年の五月府議会において、私たちの会派の坂本議員が新庁舎整備について質問を行いました。この時点での坂本議員の新庁舎整備についての質問は、大変勇気のある質問だったと思います。 府民がどう考えているかを考慮し、例えば庁舎整備の一環として、困難な治療を要する患者さんをアジア周辺諸国から受け入れることができる医療センターを併設するようなアジア戦略も視野に入れようと提案をいたしました。知事は、本館などの耐震診断の結果も踏まえて、規模、機能やPFIなどの整備手法などについて検討を進めたい旨の答弁をされました。 今般、府庁本館の耐震診断の結果が公表され、強度不足が判明しましたが、この結果を踏まえ、今後の府の庁舎整備についてどのように考えているのか、知事にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 太田知事。   (知事太田房江君登壇) ◎知事(太田房江君) 庁舎整備についてですけれども、耐震診断の結果を踏まえまして、本館に適した耐震補強工法、使用しながらの工事の可能性、概算工事費や工期などについて技術的な調査を早急に行います。 また、新庁舎整備計画とも関連があることから、府の財政負担を考慮した整備手法など幅広い庁舎整備のあり方について、府議会とも御相談をしながら府民の理解が得られるように検討を進め、本年秋ごろを目途にその方向性を定めていきたいと考えております。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 最後に、自然災害対策についてお伺いします。 昭和二十七年、大阪府の東鳥取村が全国で初めて災害救助法の適用を受けました。昭和二十七年七月十一日、午前零時、数日来の豪雨により鳥取池が決壊し、死者及び行方不明五十一名、牛十五頭死亡、田畑の流失七十町歩、その損害額約二億円、公共施設の損害額約二億七千万円、その他一億円と多数の犠牲者と多大の損害をもたらしました。 その当時の写真がこれです。当時の東鳥取村村長は、その水害状況報告の中で、今回の災害を体験し実感したことを将来の参考のために申し上げるとして、このときの教訓を記しています。 参考に御紹介させていただきますと、災害の場合、直ちに罹災者に適切な援護体制がとられること。今回の災害による犠牲者が意外に多かった。十分なあらかじめの用意と、むだと思っても安全な場所に避難すること。部落の主な人々の指導の必要性が痛感される。各地から寄せられた金品の同情は大変うれしかった。このことから、今後各地で起こるであろう災害には努めて救援物資を送りたい。災害が余り大きい場合、罹災地の住民の心は著しくすさむため、一刻も早く適切な方法で、まず衣食住を安んじること。殉難者はできる限り丁重に弔うようにする必要があるとあります。大阪の先輩方が経験された大きな水害であり、その教訓です。 さて、阪神淡路大震災のとき、自力脱出が三分の一、家族による救出三分の一、友人や隣人による救出三分の一、公的な救助隊による救出はわずか一・七%でした。どの災害も同様ですけれども、まず被災直後、周りの人とともに協力して、直面している課題に当たらないといけません。 災害の場合、直ちに罹災者に適切な援護体制をとれるようにさまざまな備えを行っていくのが行政の仕事ではありますが、府民一人一人が十分なあらかじめの用意と、むだと思っても安全な場所に避難するよう災害時のイメージを持つ必要があります。 私も、この質問をするに当たり、被災した場合のイメージを頭の中で繰り返しました。家族、隣のおっちゃん、おばちゃん、自治会の班のみんなの顔、そして避難所、子どものころから知っている安全な場所、全部地元のイメージなんです。府庁に登庁して、上町断層による直下型地震が発生したとき、私はどうするのか、さっぱりイメージがわきません。無理やりひねり出して、交通が途絶えれば、地元まで約六十キロ、時速四キロで歩き続けて十五時間、何とか帰って、地元の皆さんから、おまえ、こんな緊急時に何しとんねんと言われるだろうなとイメージしながら、ここから先はまた具体的なイメージがわいてきます。大変困ったことです。 災害時の広域のイメージも自分で整理をしておかなければならないことを痛感しましたけれども、府としても、この観点から果たすべき役割があるように思います。災害に際し府民の皆さん一人一人がみずからの役割を果たすために、危機管理監にお伺いをいたします。 ○議長(美坂房洋君) 危機管理監小河保之君。   (危機管理監小河保之君登壇) ◎危機管理監(小河保之君) 自然災害対策についてお答えいたします。 災害による被害軽減のためには、行政による公助では限界があり、個人の自覚に根差した自助、地域コミュニティによる共助の取り組みが不可欠で、府民が災害をみずから直面するリスクととらえ、実際の行動に移すことが重要であります。そのため、府民一人一人が事前に災害の知識を身につけ、避難場所や避難路の確認などの備えに努めるとともに、災害発生時にはみずからの身を守り、助け合うための適切な行動をとれるよう常に防災意識を持つことが必要です。 例えば、大規模地震で交通機関が途絶した場合、勤務先から徒歩で帰宅しなければならない状況が想定されます。そういった状況に備え、府としては、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアと水、トイレなどの提供の協定を締結しておりますが、実際に徒歩で帰宅するには、各人が経路や情報収集方法などを確認しておくなど、府民自身による事前の具体的な備えが不可欠でございます。 本府では、こういった府民の防災意識の向上を図るため、これまで避難所運営や津波避難など府民参加による実践的な訓練を行ってまいりましたが、来年度には、こういった府民、企業などとの協働参加型の訓練をさらに充実させるとともに、市町村、防災機関、ボランティアなどと防災キャラバン隊を編成し、府内の学校やスーパーマーケットなどに出向き、相談や実技指導など啓発活動を行うこととしております。 今後とも、市町村や関係機関と協力しながら、自助共助のベースとなる防災意識の向上に努めてまいります。 ○議長(美坂房洋君) 土井達也君。   (土井達也君登壇) ◆(土井達也君) 本日、ここに至るまで、御指導、御鞭撻をちょうだいしましたすべての皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。 これをもちまして、主権おおさかの代表質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○議長(美坂房洋君) お諮りいたします。本日はこれをもって散会し、明三月七日午後一時より本日同様の日程をもって会議を開きたいと思います。これに御異議ありませんか。   (「異議なし」「異議なし」) ○議長(美坂房洋君) 御異議なしと認め、そのように決します。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(美坂房洋君) 本日はこれをもって散会いたします。午後五時三十一分散会...